日本小児外科学会雑誌
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Epigastrius(上腹体)の 1 例
上野 滋横山 清七平川 均熊木 伸枝梅村 しのぶ高倉 一郎五十嵐 吉光
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2002 年 38 巻 5 号 p. 775-781

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抄録

二重体はまれな先天異常で, 非対称性結合二重体であるEpigastrius(上腹体)はさらにまれとされる.我々は, 上腹部正中より臀部を伴った下肢様構造の突出を認め上腹体と診断した症例を経験した.自生体には臍帯ヘルニアとFallot四徴症, 小眼球症を合併し, 寄生体切除術後, Blalock-Taussig手術を施行した.寄生体は自生体と臓器で連続しておらず, 腹腔を別にしていた.切除した寄生体には, 病理組織学的に神経節細胞を有する小腸・大腸, 腎, 尿管, 膀胱, 精巣, 精巣上体, 陰茎, 骨盤, 下肢構造が認められた.上腹体は胎生早期の多潜能性の胎生幹細胞が異所性に発育して生じると考えられることから, 寄生体腸管に見られた神経節細胞は胎生早期に寄生体に分布した原基から分化したと考えられた.

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