【目的】小児外科術後患児に持続硬膜外麻酔を行い, 術後の疼痛管理法としてその安全性, 有用性について検討した.【方法】1998年1月から2000年5月までの2年5カ月間に, 国立岩国病院小児外科で行われた手術のうち, 漏斗胸52例, 膀胱尿管逆流症8例, 先天性胆道拡張症6例, 尿道下裂4例, イレウス3例, その他18例, 計91例を対象とした.年齢は生後3カ月から16歳まで, 平均5.8歳であった.穿刺部位の内訳は, 胸部58例, 腰部11例, 仙骨22例であった.投与薬剤は, フェンタニル5.0-15.2μg/ml, ブピバカイン0.1-0.21%で, 投与速度は0.04-0.06 ml/kg/hで注入した(フェンタニル0.20-1.1μg/kg/h, ブピバカイン40-126μg/kg/h).穿刺部位, 留置期間, 鎮痛効果, 合併症について検討した.【結果】穿刺部位別の平均年齢は, 胸部が7.4歳, 腰部が5.7歳, 仙骨が1.6歳であった.硬膜外カテーテル平均留置期間は, 胸部が5.0日間, 腰部が3.5日間, 仙骨が3.8日間であった.持続硬膜外麻酔中に, 痛みが原因で不穏な状態が続くような患児はなく, 術後疼痛は良好にコントロールされていた.合併症は, 嘔気・嘔吐が49例(54%), カテーテルによる一過性の知覚異常・しびれが4例(4%), 痙攣が1例(1%)みられたが, 長期におよぶ神経学的異常はなかった.【結論】小児においても術後の持続硬膜外麻酔は疼痛緩和に有用であり, 感染, カテーテルによる神経刺激, 局麻剤中毒に気をつければ安全に行うことができる.
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