日本小児外科学会雑誌
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小児外科regionalizationへの対策 : 新生児外科における地域化の試み : 大阪新生児外科診療相互援助システムの活動から(<特集>小児外科regionalizationへの提言)
鎌田 振吉臼井 規朗澤井 利夫岡田 正竹内 敏中村 哲郎窪田 昭男八木 誠浜田 吉則塩川 智司安福 正男山本 哲郎
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2003 年 39 巻 1 号 p. 16-20

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抄録

我々は,1992年より,大阪府下での新生児外科診療における地域化に取り組んできた.今回,過去6年間の統計を解析するとともに,その経験をもとに我が国小児外科地域化の対策を検討した.【対象・方法】1995年から6年間に大阪新生児外科診療相互援助システム(NSCS)参加11施設17診療科で経験した1786症例を対象とした.【結果】症例数,出生前診断症例数、母体搬送症例数は漸次,増加が見られ,CDHの出生前診断率はは大幅に向上した.CDHの予後に改善か見られ,全体の予後も改善した.新生児・母体搬送とも,やや遠隔地に搬送される例が多くみられたが,搬送中死亡などの問題は比較的少なかった.【地城化への対策】全国的視野でその問題点を検討すると、1)都道府県単位でのシステムの構成は困難で、広範囲の地域を設定する必要があり,地域化のための統一的なガイドラインの作成が望ましい.2)搬送態勢の整備とともに,出生前診断の普及を推進することか重要である.3)フォローアップのためのガイドラインの策定か望まれる.4)周産期・救急医療などの他システムとの協調,行政への働きかけが必要である.【まとめ】地域化により出生前診断率の向上心台座成績の改善がみられ,全国的規模で地域化を推進することが,予後の改善・小児外科専門医療の確立につながると思われた.

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