2003 年 39 巻 5 号 p. 662-666
症例は14歳の女児.急性虫垂炎の診断で入院中に腹部超音波検査にて偶然,脾臓の腫瘤が発見された.CTでは脾門部に径30×40mmの辺縁整な腫瘤を認め,造影CTでは均一に造影された.MRIでは脾門部よりに32×43 mmの辺縁整な腫瘤を認め,脾実質と比較してT1強調像で等信号,T2強調像で不均一な高信号,Dynamic MRI では早期相で均一に造影され,後期相でも造影され続けていた.また同様の所見を呈する小結節が散在性に認められた.以上より脾血管腫が最も疑われたが,悪性腫瘍の可能性も否定しきれなかったため,腹腔鏡下に脾摘術を行い,小開復創から脾を破砕せず体外に導出した.腫瘤は脾門部に突出し割面で径35×28×25mm,黄白色で被膜の形成を認めなかった.病理組織学的には脾洞に類似する赤脾髄様の構築が主体であり赤脾髄型の脾過誤腫と診断した.