抄録
【目的】経直腸門脈シンチグラフィを用いて,胆道閉鎖症における門脈血行動態の異常を評価すること.【対象】胆道閉鎖症の術後で肝移植を受けていない13例.年齢:4歳6ヵ月〜18歳7ヵ月(平均12歳7ヵ月).性別:男3例,女10例.病型:IH型11例, I-cyst型2例.手術時日齢:13日〜100日(平均49.7日)【方法】^<201>TlCl,を上部直腸内に0.5〜1.0ml(18.5〜37MBq)注入し,30〜60分後に関心領域(ROI)を心と肝におき,単位面積あたりの心/肝摂取比(H/L ratio)を測定した.血液生化学検査(過去1年間の平均値)(T-Bil, ALT, ChE, WBC, Plt),超音波断層法による脾腫(SI/Ht=長径×短径/身長)の測定(部分脾動脈塞栓術を行った症例を除く),上部消化管造影による食道静脈瘤の有無,及び年齢を検討項目とした.【結果】1) H/L ratioと血液生化学検査(T-Bil, ALT, ChE, WBC, Plt)との間に有意な相関関係はみいだせなかった.2)H/L ratioと脾腫(SI/Ht)との間に有意な正の相関関係(p<0.05)がみられた.3)H/L ratioと食道静脈瘤の有無との間に有意な関係がみられた.H/L ratioが0.5〜0.6を境界として,それ以上の症例のすべてに食道静脈瘤がみられた.4 ) T-Bil, ALTのいずれかが異常値を示す症例(10例,病型はいずれもIII型)において,H/L ratioと年齢(Age)との間に有意な正の相関関係(p<0.01)がみられた.【結論】胆道閉鎖症において,経直腸門脈シンチグラフィによって算出された心/肝摂取比(H/L ratio)は,門脈大循環短絡を非侵襲的に評価できる有用な診断法であると考えられた.肝機能異常の程度にかかわらず,年齢とともに門脈圧亢進症,側副血行路の形成,肺機能亢進症などがあらわれる胆道閉鎖症の臨床的傾向を裏付けるものと考えられた.