日本小児外科学会雑誌
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先天性腸閉鎖症を合併した全結腸無神経節症の2例
林田 良啓野口 啓幸田原 博幸加治 建高松 英夫
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2004 年 40 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

全結腸無神経節症(以下本症)に先天性腸閉鎖症を合併した2例を報告する.症例1は前医にて腸回転異常を疑われ開腹術を行ったがMeckel憩室を認めるのみで回腸部分切除術を施行した.術後も腹満が持続するため,精査の結果本症の診断で回腸瘻を造設した.術後胆汁性嘔吐が持続し十二指腸狭窄が疑われた.再開腹術にて輪状膵による十二指腸閉鎖を認め,上下十二指腸に胆管が開口し,これを介し口側腸管ガスが下部腸管に流入していたと考えられた.症例2は先天性回腸閉鎖症の診断で開腹,離断型閉鎖を認め,回腸回腸端背吻合術を行った.その後吻合部狭窄に対し再吻合術や,吻合部縫合不全のための再吻合後回腸瘻造設を行った.1ヵ月後に回腸瘻を閉鎖したが,再び通過障害が出現した.精査の結果本症と診断した.本症に先天性腸閉鎖症を合併することは少ないと言われるが,これらの合併は常に念頭に置くべきと思われた.

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