日本小児外科学会雑誌
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小児外科疾患における腹部単純X線石灰化像の臨床的意義
後藤 幸子文野 誠久玉村 宣尚木下 裕美青井 重善木村 修下竹 孝志出口 英一岩井 直躬
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2004 年 40 巻 6 号 p. 775-780

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抄録
【目的】小児外科診療において,腹部単純X線写真の上で,石灰化像を認めることがある.しかし,その意義や特徴についての詳細は不明である.本稿では,腹部単純X線写真における石灰化像についてその臨床的意義を検討した.【方法】過去5年間に当科で入院加療し,腹部単純X線写真を撮影した724症例中,石灰化像を認めた25例について,石灰化部位,時期,診断,発生機序の点から検討した.【結果】石灰化部位では右上腹部が最も多く,診断としては神経芽腫が最多であった.石灰化の認められた時期は新生児期5例,乳児期以降20例であった.石灰化機序は,腫瘍性病変が15側,炎症に伴うもの4例のほか,直腸肛門奇形(直腸尿道瘻)、膵胆管合流異常症,総排泄腔外反症など,消化器や尿路系の機能異常に伴うと推測されるものが6列認められた.【結論】腫瘍性疾患においては,石灰化の部位により診断および病期の推定が可能である.また,消化器や尿路系の疾患においては,術前の診断のみならず長期の術後機能をも反映している場合があり,術式の決定や術後の診療において重要な意義をもつことが再認識された.
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