2006 年 42 巻 2 号 p. 278-281
症例は,7カ月,女児.生下時より前胸部に小孔を認めていた.7カ月時に発赤,腫脹を来たし,消炎後,摘出術を施行した.病理診断にて線毛上皮,平滑筋の存在より気管支原性嚢胞と診断された.本疾患は胎生期の気管原基の異常分芽の迷入が原因とされる.皮下に発生する症例は稀であり,本邦での報告は検索し得た限り自験例を含めて16例であった.その中でも特に前胸部の皮下に発生した小児症例は7例のみであった.乳幼児期に発見される前胸部の嚢胞性病変は本疾患を念頭におき治療することが重要であると思われた.