日本小児外科学会雑誌
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頭蓋内出血を伴った乳児先天性胆道拡張症の1例
大畠 雅之能村 正仁稲村 幸雄田中 賢治田浦 康明入江 朋子永安 武
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2007 年 43 巻 1 号 p. 42-47

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抄録

乳児ビタミンK欠乏性出血症は母乳哺育以外の誘因のない特発性と母乳哺育以外の原因が考えられる2次性に大別され,頭蓋内出血の頻度が非常に高い疾患である.2次性としてビタミンKの吸収障害や利用障害などを原因とする胆道閉鎖症に頭蓋内出血合併の報告が多い.症例は2か月男児.発熱で入院した前医で先天性胆道拡張症と診断され当科に入院となった.入院後,血圧低下,呼吸不全が進行し頭部CTで石頭蓋内出血を認め緊急関頭術と関頭減圧術を施行した.術前検査でPT,APTTが著明に延長しビタミンK欠乏が原因と考えられた.術後神経症状は改善したものの肝機能異常が持続するため先天性胆道拡張症に対する根治術を施行した.1990年以降本邦で自験例を含め9例の新生児・乳児先天性胆道拡張症に出血傾向,頭蓋内出血が報告されている.今回,我々は先天性胆道拡張症に頭蓋内出血を合併した乳児症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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