日本小児外科学会雑誌
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後鼻腔腫瘍salivary gland anlage tumorの1新生児例
大浜 和憲石川 暢己片柳 和義
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2007 年 43 巻 2 号 p. 161-165

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抄録
新生児期の鼻腔あるいは上気道閉塞はさまざまな病態によって引き起こされる.私たちは生後早期に呼吸障害を引き起こした後鼻腔腫瘍の1男児例を経験した.鼻咽腔ファイバースコピー検査で右後鼻腔に有茎性腫瘤を認めた.CTとMRI検査でこの腫瘤は軟口蓋から右下鼻道へ突出する10×15mm大の充実性腫瘍として描出された.日齢29に内視鏡観察下にこの腫瘤を分割して摘出し,症状は消失した.病現組織検査でsalivary gland anlage tumorと診断された.この腫瘍は充実性・嚢脆性扁平上皮胞巣,充実性索状物や腺様構造物によって特徴づけられており,その一部は扁平上皮で覆われた粘膜表面に連続しており,新生物というよりはむしろ過誤腫と考えられている.生後早期に鼻腔あるいは上気道閉塞があれば,この疾患も考慮すべきである.
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