日本小児外科学会雑誌
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特発性乳糜胸に対するミノマイシン注入療法による治療経験
正畠 和典中村 哲郎東 孝大野 耕一吉田 達之林 宏昭中平 公士
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2007 年 43 巻 7 号 p. 923-927

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抄録
症例は日齢28女児.多呼吸を主訴に近医を受診し,画像検査で右胸水を認め当科へ紹介受診となった.受診時,陥没呼吸,SpO_2 80%台と低下したため胸腔穿刺を行い,その性状から乳糜胸と診断した.入院後,持続胸腔ドレーンとMCTミルクによる保存的治療を開始したが効果なく,絶食後も排液量の減少は認めなかった.ミノマイシン(minocycline 8mg/生食5ml)の胸腔内注入による胸膜癒着療法を施行したところ,速やかに排液量は減少した.注入後10日目には排液はみられなくなり,合併症は認めなかった.退院後6か月の画像検査でも胸水の再貯留は認めず現在に至る.本法は発熱,呼吸困難などの副作用も殆どなく新生児や乳児の乳糜胸に有用な治療法と考えられた.
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