日本小児外科学会雑誌
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乳児早期の陰唇癒合
松川 泰廣渡邊 健太郎
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2008 年 44 巻 5 号 p. 655-660

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抄録

【目的】乳児早期の陰唇癒合についてはこれまで報告がない.今回乳児健診から多数の紹介を受け生後3か月で多発することがわかった.乳児早期の陰唇癒合の臨床像を報告する.【方法】2003年7月から2006年12月の3年6か月間の陰唇癒合84例を検討した.尼崎市の乳児健診の女児健診数から頻度を推定した.全例鈍的に開大し,術後は母親に清潔と開大を保たせた.【結果】受診経路は,3か月健診からが41例,6か月健診が22例,9〜10か月健診が9例,1歳半健診が1例,外来が11例であった.71例は尼崎市の乳児健診からの紹介であった.最も多いときにはひと月で7例,1年で38例の紹介があった.来院年齢は生後2か月1例,3か月23例,4か月17例,5か月3例,6か月11例,7か月8例,8か月4例,9か月5例,10か月3例,1歳以上9例で,生後3か月に発生のピークがあった.健診での陰唇癒合の推定頻度は,3か月健診で0.86%,6か月健診で0.76%,9〜10か月健診で0.59%であった.77例は無症状で,1歳未満では72例が無症状であった.47例がほぼ全長癒合で,4か月以内では26例がほぼ全長癒合であった.53例が上線に微小開口していた.再癒合は17例でみられたが,上縁か下縁の微かな癒着であった.【結論】陰唇癒合は乳児期のよくある日常疾患である,生後3か月にピークがありほぼ全長癒合で発症する.乳児健診での陰唇癒合のチェックを徹底すべきである.治療よりも予防が大切で,生直後からの衛生指導を徹底すべきである.

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