2008 年 44 巻 5 号 p. 732-736
遅発性先天性横隔膜ヘルニアに対して腹腔鏡下根治術を施行した3乳幼児症例を経験したので報告する.症例1は1歳4か月の男児で気管支炎に罹患した際の胸部X線にて異常を指摘され当科に紹介された.症例2は8か月女児でRSウイルス感染時の胸部X線にて異常を指摘され当科に紹介された.症例3は5か月男児で当科にて両側水腎症の術後のフォローでのCTにて発見された.症例1は有嚢性で完全体内結紮,症例2は無嚢性で体外からのアンカースーチャーを併用した体外結紮,症例3も無嚢性で体外結紮のみを用いて,いずれも一期的に縫合閉鎖した.横隔膜ヘルニアに対する腹腔鏡下手術を行う場合は縫合操作を行う場合の運針の方向を考えたポート位置の設定が重要であり,手術の成否を左右する.今回の3症例は腹腔鏡挿入時の欠損孔の所見からポート位置を決定することにより安全に縫合操作が可能であった.