日本小児外科学会雑誌
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小児腸重積症再発例の検討 : 特に好発年齢を過ぎた再発例について
畑中 政博石丸 由紀田原 和典藤野 順子鈴木 信池田 均
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2009 年 45 巻 2 号 p. 193-198

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抄録
【目的/方法】腸重積症再発例の中でも特に好発年齢を過ぎた再発例では器質的病変の存在する可能性が高い.しかしこのような症例に対する病変の検索方法や外科的アプローチについては,未だ一定の合意や指針は存在しない.今回,自験再発症例について検討し,器質的病変のハイリスク例に対する対処に関し考察した.【結果】当科では2000年4月から2008年3月までの8年間に94例,105回の腸重積症を経験した.腸重積症の原因となる器質的病変を認めた症例は6例(6.4%)で,年齢は4例が4歳以上であり,また2例が再発例で,1例に慢性的腹痛の既往があった.病変の内訳はBurkittリンパ腫が2例,メッケル憩室が2例,回腸異所性胃粘膜と盲腸重複症が各1例であった.一方,腸重積症の再発例は6例(6.4%)で,年齢は5か月から5歳,発症回数は2回から4回(再発回数は1回から3回)であり,初回発症から最終再発までの期間は2日から9か月であった.4例は非観血的に整復されたが,4歳と5歳の2例に器質的病変を認め開腹術が行われた.【結論】少なくとも4歳以上の再発例では器質的病変の存在を強く疑って慎重に対応すべきであり,また病変の検索に関しては一般的な画像診断に加え,腹腔鏡が低侵襲かつ有用な検索方法として選択肢の一つとなり得ると考えられる.
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