抄録
患者は4歳6か月男児.進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型の診断で当科にて生体肝移植を施行.術後7日目に肝酵素の上昇を認め急性細胞性拒絶と診断し,ステロイドパルスを3日間施行し肝酵素の改善が得られた.その後再度肝酵素の上昇を認めたため,mycophenolate mofetilの併用や2回目のステロイドパルスを施行したが治療反応性は極めて乏しくグラフト不全に陥った.肝生検所見では門脈域のリンパ球を主体にした炎症細胞浸潤,門脈域・中心静脈周囲の肝細胞の脱落・うっ血および細胆管・胆管の消失を認めた.早期慢性拒絶と診断し,治療に対する反応性も乏しい点,大量腹水の漏出により凝固系の破綻をきたしている点を考慮し,術後24日目からOKT3の計8日間の連日投与を行った.腹水の減少,肝酵素の低下を認め,最終的に改善に至った.術後47・61日目の肝生検所見は劇的に改善しており,退院後も全身状態や検査所見は安定している.