日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
陰嚢水腫に対するLaparoscopic Percutaneous Extraperitoneal Closure (LPEC)法
岩出 珠幾住田 亙高須 英見渡邉 芳夫町田 水穂好沢 克高見澤 滋
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 48 巻 4 号 p. 705-709

詳細
抄録

小児鼡径ヘルニア手術において,腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖術(Laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure:LPEC法)の有用性が報告されている.一方で,腹膜鞘状突起の開存を認める陰嚢水腫に対するLPEC法の有用性についての報告は少ない.今回,小児例に多い腹膜鞘状突起の開存を伴う陰嚢水腫に対してLPEC法を行い,その有用性を検討したので報告する.【対象と方法】2005年4月から2010年12月まであいち小児保健医療総合センター小児外科にて陰嚢水腫に対してLPEC法を行った25症例(片側:両側=18例:7例 両側術後の片側再発1例を含む)を対象とした.さらに,著者が現在所属している長野県立こども病院において2003年1月から2011年6月の間に鼡径部アプローチによる腹膜鞘状突起の高位結紮術が行われた陰嚢水腫31例(片側:両側=30例:1例)を対象として,手術時間,手術中の合併症,術後再発を比較検討した.【結果】手術時間はLPEC法で片側が18.6±4.46分,両側が24.4±4.66分であった.一方,高位結紮術で片側が32.7±15.8分,両側が49分であった.両術式で手術中の合併症は認めなかった.術後再発はLPEC法にて両側陰嚢水腫の1例で結紮糸の緩みが原因と考えられる左陰嚢水腫の再発を認めた.この症例にはLPEC法を再度行い,その後再発は認めていない.【結論】LPEC法は鼡径部アプローチによる腹膜鞘状突起の高位結紮術と並び,腹膜鞘状突起の開存を認める陰嚢水腫の有用な治療法となり得ると考えられた.

著者関連情報
© 2012 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top