日本小児外科学会雑誌
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Mayer-Rokitansky-Kuster-Hauser症候群を合併した肛門前庭瘻の1例
安井 良僚河野 美幸桑原 強高橋 貞佳押切 貴博
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2012 年 48 巻 4 号 p. 775-780

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抄録

Mayer-Rokitansky-Kuster-Hauser症候群(以下MRKHS)を合併した肛門前庭瘻の1例を経験したので,その診断や治療について検討し報告する.症例は在胎36週で出生.肛門直腸奇形の診断で生後0日に紹介となった.会陰部には外尿道口と前庭部の瘻孔の2孔のみを認め,瘻孔造影では膣,子宮は描出されず肛門前庭瘻と診断した.腹部MRIで子宮,膣を確認できず,外陰部の所見と合わせてMRKHSの合併を疑った.1歳時に肛門形成術を行い,1歳6か月時に腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を行ったが,その際の腹腔鏡所見でMRKHSと確定診断した.今後本人,家族と相談し,膣形成術を行う予定である.MRKHSはMullerian duct由来器官の形成異常とされる.稀に鎖肛に合併することが知られていたが,その頻度は思われていたより多いとする報告もある.性器の異常を幼少期に正確に診断することは困難であるが,直腸肛門奇形の女児で外陰部に膣の開口が確認できない場合,本症候群の合併を念頭に置いて診断,治療にあたる必要がある.

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