2012 年 48 巻 7 号 p. 1051-1054
症例は4歳,男児.腹痛と嘔吐を主訴に近医を受診し,腸炎の診断で点滴治療が行われた.その後も症状が持続し,右下腹部を中心とした強い圧痛を認めるようになり,当院に緊急紹介となった.感染性腸炎によるイレウスの診断で入院となり保存的治療を行った.入院翌日の朝になり腹膜刺激症状が出現し,腹部CTで小腸の拡張と右下腹部に嚢胞性の病変を認めた.急性虫垂炎の穿孔による膿瘍形成や小腸重複症の感染などを考え緊急手術を行った.腹腔内を検索すると暗緑色の嚢胞様構造を認め,Meckel憩室が頸部で捻転し壊死したもので,憩室楔状切除を施行した.Meckel憩室が茎捻転をおこした場合は,急性腹症を呈し嚢胞性病変として描出される.長くて頸部が狭小なものは茎捻転しやすいため,予防的切除の適応がある.