抄録
下部尿路閉塞性障害の原因として前部尿道弁・前部尿道憩室が原因となることがある.我々は,3 例の前部尿道弁・前部尿道憩室症例を経験した.症例1:在胎31 週に,胎児診断にて下部尿路閉塞症を指摘された.出生後,左膀胱尿管逆流症および前部尿道弁・憩室と診断,膀胱皮膚瘻を造設後,1 歳時に尿道形成術を施行した.症例2:母親が排尿異常に気付いて,生後9 か月時に受診,前部尿道弁・憩室と診断された.1 歳時に経尿道的弁切開術を施行した.症例3:ダウン症男児.3 歳時に排尿困難が顕在化し,前部尿道弁・憩室と診断され,膀胱瘻を造設した.前部尿道弁・前部尿道憩室症は,本邦でこれまでに集計し得た限りで147 症例が報告されている.重症例では早期診断と治療によって,腎・膀胱機能を温存することが重要である.本邦報告例の診断時の症状について検討し,本症の診断について考察した.