2014 年 50 巻 1 号 p. 103-107
症例は6 歳男児.腹部超音波検査,CT にて左後腹膜に9×7 cm 大の腫瘍を認め,神経芽腫が疑われて開腹生検を施行したが,病理組織診断はganglioneuroma であった.しかし腫瘍マーカー高値が持続するため中央病理診断に再検討をお願いし,最終的にganglioneuroblastoma との診断を得た.INSS Stage 2a で,JNBSG LI-B による化学療法3 クール施行後,腫瘍摘出術を施行した.摘出腫瘍の割面は肉眼的に白色調と褐色調の部分が混在して不均一で,組織所見では白色調の部分は生検時の組織に類似していたが,褐色調の部分はN/C 比の高い神経芽細胞や神経節細胞が多数残存していて,腫瘍内にheterogeneity が認められた.術後化学療法は施行せず,2 年間無病生存中である.腫瘍内にheterogeneity が存在する場合,1 か所からの腫瘍生検では正確な病理組織診断が困難な場合があり,注意を要すると考えられた.