2014 年 50 巻 4 号 p. 798-801
新生児舌根部甲状舌管囊胞の2 例を経験した.症例1 は出生直後からの吸気性喘鳴と体重増加不良を認めた.19 生日に経鼻的喉頭ファイバースコピーにて舌根部囊胞を認めた.検査のための鎮静剤投与により吸気性喘鳴の増悪があり気管内挿管を行った.生後23 日目に囊胞開窓術および造袋術を行った.症例2 は吸気性喘鳴,体重増加不良の精査のためのCT 検査で舌根部囊胞を認めた.経鼻的喉頭ファイバースコピーで舌根部囊胞は喉頭蓋を圧排し声門は観察できなかった.28 生日に囊胞開窓術および造袋術を行った.舌根部甲状舌管囊胞は新生児期より吸気性喘鳴を来たし,突然死の原因にもなる.仰臥位での喘鳴増悪,喘鳴に比べて顕著な哺乳障害や体重増加不良がみられる場合は迅速に喉頭ファイバースコピーを行い,診断が得られれば速やかな手術が必要である.