日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
新生児舌根部甲状舌管囊胞の2例
春松 敏夫向井 基加治 建中目 和彦桝屋 隆太山田 和歌大西 峻野村 美緒子義岡 孝子松藤 凡
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 50 巻 4 号 p. 798-801

詳細
抄録

新生児舌根部甲状舌管囊胞の2 例を経験した.症例1 は出生直後からの吸気性喘鳴と体重増加不良を認めた.19 生日に経鼻的喉頭ファイバースコピーにて舌根部囊胞を認めた.検査のための鎮静剤投与により吸気性喘鳴の増悪があり気管内挿管を行った.生後23 日目に囊胞開窓術および造袋術を行った.症例2 は吸気性喘鳴,体重増加不良の精査のためのCT 検査で舌根部囊胞を認めた.経鼻的喉頭ファイバースコピーで舌根部囊胞は喉頭蓋を圧排し声門は観察できなかった.28 生日に囊胞開窓術および造袋術を行った.舌根部甲状舌管囊胞は新生児期より吸気性喘鳴を来たし,突然死の原因にもなる.仰臥位での喘鳴増悪,喘鳴に比べて顕著な哺乳障害や体重増加不良がみられる場合は迅速に喉頭ファイバースコピーを行い,診断が得られれば速やかな手術が必要である.

著者関連情報
© 2014 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top