2014 年 50 巻 7 号 p. 1113-1118
膿瘍形成性虫垂炎では保存的治療で軽快し,interval appendectomy(IA)を容易に行える症例がある一方,保存的治療を断念し,緊急手術を要する症例も存在するが,最初に保存的治療の成否を予測する方法は確立していない.保存的治療中に超音波検査で経過を観察できた小児膿瘍形成性虫垂炎の軽快例の特徴について報告する.IA を開始した2008 年から2013 年までに保存的治療を行った膿瘍形成性虫垂炎例は6 例,3 から12 歳で,内1 例は経時的超音波検査にて膿瘍腔の拡大を認めて緊急手術を施行し,他5 例は膿瘍腔の縮小を認めて軽快した.最初の超音波検査における虫垂壁の層構造は,保存的治療の軽快例では穿孔部以外で保たれ,軽快しなかった1 例では破綻していた.虫垂壁層構造の確認と膿瘍腔サイズの経時的観察は,保存的治療の成否の予測と判断に有用となる可能性が示唆された.