日本小児外科学会雑誌
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原著
超低出生体重児の小腸瘻閉鎖に関する検討
渡邉 高士窪田 昭男三谷 泰之瀧藤 克也山上 裕機
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2015 年 51 巻 6 号 p. 1036-1041

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抄録

【目的】当科では小腸瘻を造設した超低出生体重児の早期経口(経管)栄養確立のため,閉鎖前の処置として肛門側腸管に成分栄養剤とprobiotics の注入を行っている.この処置の有用性について検討した.
【方法】2008 年4 月から2013 年3 月までの5 年間に当科で小腸瘻を造設し,閉鎖した超低出生体重児7 例を対象とした.当科では肛門側腸管の廃用萎縮の予防,体重増加を目的に,肛門側腸管に成分栄養剤とprobiotics の注入を少なくとも1 か月以上行い,小腸瘻を閉鎖する方針としている.これらの症例の治療経過について後方視的に検討した.
【結果】小腸瘻からの注入は術後14 日から65 日(平均33 日,中央値25 日)で開始しており,小腸瘻閉鎖は腸瘻からの注入開始後31 日から75 日(平均41 日,中央値34 日)で施行した.閉鎖時の平均体重は1,621 g(中央値1,400 g)で小腸瘻閉鎖後4 日から6 日後に経口(経管)栄養を開始できた.小腸瘻からの注入開始前に体重増加不良があった症例は,注入開始後に10 g/day 以上の体重増加がみられるようになった.また術後縫合不全や通過障害を認めた症例はなく小腸瘻を閉鎖した症例は全例が生存退院している.
【結論】肛門側腸管に成分栄養剤とprobiotics の注入を行うことは小腸瘻閉鎖前の体重増加不良を改善する可能性がある.

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