抄録
杙創は転落,転倒することなどにより先端が鈍な物体が生体内に刺入することで生じる外傷である.今回,杙創により直腸穿孔をきたした稀な小児症例を経験したので報告する.症例は7 歳男児,庭の柵を飛び越えた際,支柱に掛っていたS 字型の金具が肛門に刺入した.肛門部に出血,疼痛を認め,前医を受診.直腸穿孔が疑われ,当院に紹介となった.直腸に裂創と出血を認め,CT 検査にて,骨盤内後腹膜腔にガスの貯留を認めた.全身状態は安定し,損傷も内肛門括約筋のみで直腸以外の臓器損傷を疑わす所見は認めず,人工肛門を造設せず一期的に直腸損傷部を修復した.術後は合併症なく経過し,術後7 日目に退院となった.小児の会陰部杙創は64 例が報告されているが,人工肛門を造設することなく損傷部位の縫合閉鎖のみで治癒せしめた症例は稀である.外傷の程度によっては,十分に選択しうる術式と考えられた.