日本小児外科学会雑誌
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症例報告
便色カラーカード導入後に早期診断が困難であった最近の3例
濟陽 寛子浦尾 正彦田中 奈々鈴木 光幸清水 俊明山高 篤行
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2016 年 52 巻 1 号 p. 124-129

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抄録

胆道閉鎖症(以下,本症)の早期発見率の向上を目的として,便色カラーカード法が利用され,2012 年には便色カードの全国配布が開始された.背景として本症の黄疸消失率,長期予後は満足といえず,要因の一つとして診断の遅れがある.2012 年に便色カードの配布を開始した地域で,生後2 か月以降に本症の診断に至った3 例を経験した.いずれも生直後は黄色調の便で,のちに白色調の便を認め,葛西手術は生後3 か月時に施行された.本症では母親や小児科医,看護師など医療従事者が必ずしも便色の異常を認識せず,病状の進んだ症例が散見され問題となる.①母親へ日常的な便色チェックの指導,②小児外科医,小児科医,看護師など医療従事者と統一した本症の知識・情報の共有,③簡便かつ見逃しを抑制するための健診体制が重要である.血清ビリルビン値測定,尿中硫酸抱合型胆汁酸,便色の写真判定法を併用し対費用効果も考慮したスクリーニングの方策が必要である.

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