日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
原著
当科における先天性囊胞状腺腫様奇形の臨床的検討
靏久 士保利橋詰 直樹八木 実浅桐 公男深堀 優石井 信二七種 伸行東館 成希吉田 索田中 芳明
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 52 巻 5 号 p. 1031-1036

詳細
抄録

【目的】胎児診断の向上により胎児期に先天性囊胞状腺腫様奇形(以下CCAM)を指摘される例が増加しているが,治療方針や治療術式は画一的なものはない.今回は当科の経験症例を基に,術式や手術時期を後方視的に検討した.

【方法】2002 年から2014 年までに当科にて治療したCCAM の11 例を対象とした.検討項目は病型・術式・臨床所見・手術時期・術後合併症とした.また出生前診断あり(以下P 群),なし(以下N 群)と,手術時期を9 か月前後で分類して検討した.

【結果】内訳はStocker Type I 7 例,Type II 4 例であった.手術術式は10 例で肺葉切除術を,1 例に肺部分切除術を施行した.P 群が8 例,N 群が3 例であり,P 群のうち他院経過観察の1 例(1 歳8 か月)と外来受診を自己中断していた1 例(2 歳6 か月)を除いた6 例は9 か月(中央値103 日)までに根治術を施行した.そのうち緊急手術は2 例で13 日,101 日に施行し,他の4 例は術前の呼吸器合併症は認めなかった.N 群のうち有症状からの発見は2 例(気胸,陥没呼吸)であり,1 例は偶然発見された.緊急手術は1 例で19 日に施行した.全3 例の緊急手術は,Type I でありエア・トラップによる病変部増大での呼吸状態悪化が原因であった.術後合併症は1 例に横隔神経麻痺,2 例に漏斗胸を認めたが呼吸器症状を認める例はなかった.

【結論】有症状のCCAM の場合は可及的速やかな手術が推奨されるが,無症候性の場合は呼吸器合併症や悪性化を避け,肺の発育を促すためにも9 か月頃までに手術を施行することが望ましいと考えられた.しかし,3 か月以下の手術では術後合併症を認めており3 か月以降の手術が望ましいと考えられた.

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top