日本小児外科学会雑誌
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症例報告
下行結腸非固定による腸閉塞をきたした1例
大場 豪山本 浩史
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2016 年 52 巻 6 号 p. 1214-1217

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抄録

症例は3 か月男児.胆汁性嘔吐を主訴に前医受診,腹部単純X 線写真で大腸ガスの右方偏位を指摘され,腸回転異常症の疑いで当院紹介となった.CT,注腸造影にて非定型腸回転異常症が疑われたが,病態がはっきりせず試験開腹術を施行した.上腹部3.5 cm で開腹したところ,左側結腸が固定されておらず脾彎曲部は形成されていなかった.また,上行結腸間膜と下行結腸間膜が癒着し,左結腸が右側に倒れ,これによりTreitz 靭帯から出た空腸が右方に折れて屈曲し通過障害を呈している状態であった.Treitz 靭帯は形成されていた.結腸間膜の癒着を剥離し,下行結腸を左後腹膜に3 点固定した.術後経過良好で術後5 日目に退院となった.下行結腸が固定されていない病態は稀であると考えられ,報告する.

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