2017 年 53 巻 5 号 p. 1014-1018
【目的】肝臓が全脱出した巨大な臍帯ヘルニアに対する治療は,現在でも難渋することが多い.われわれは全肝脱出巨大臍帯ヘルニアに対して,Wound Retractorを用いて脱出臓器を押し込まないよう留意したAllen-Wrenn法(Allen-Wrenn変法)が有効かどうか検討した.
【方法】2010年から2015年に当院入院した全肝脱出臍帯ヘルニアの5例(A群)と,肝非脱出の腹壁異常5例(B群)を比較検討した.羊膜を切開してWound Retractorを腹腔内に挿入し,サイロを皮膚が充分盛り上がるまで牽引すること,脱出臓器を腹腔内へ押し込まないことなどに留意したAllen-Wrenn変法を行った.
【結果】A群(男児2例,女児3例)の平均在胎週数37週3日,平均出生体重2,182 g,腹壁欠損孔は平均6.5 cm,B群(男児4例,女児1例)の平均在胎週数34週6日,平均出生体重2,140 g,腹壁欠損孔は平均2.6 cmであった.A群では全身状態不良な1例のみに生後2日でサイロ装着を行い,その他4例では出生当日にサイロを装着した.B群では全例出生当日にサイロを装着した.A群のサイロ装着期間は平均6.8日(5~8日)で,全例比較的容易に腹壁閉鎖が可能であった.B群では平均6.0日(3~10日)で,両群間のサイロ装着期間に有意差を認めなかった.
【結論】本術式は全肝脱出巨大臍帯ヘルニアにおいても低侵襲であり,肝非脱出の腹壁異常と同様に簡便に安全に短期間で腹壁閉鎖することができた.また,特別な器具や手技を必要とせず,どのような施設であっても施行可能であるため非常に有効な治療戦略と思われる.