2017 年 53 巻 5 号 p. 1032-1036
乳児初期の急性腹症において術前診断は困難なことが多く,治療介入が遅れることがある.虫垂と後腹膜との癒着による内ヘルニアで絞扼性イレウスをきたし緊急手術を要した症例を報告する.日齢44,女児.37週1日,2,052 gで出生.呼吸障害あり先天性筋強直性ジストロフィと診断.日齢44に発熱,腹部緊満が出現した.注腸造影で結腸の拡張はなく,上行結腸は狭小化を認め回腸末端は描出できず,上部消化管造影検査では十二指腸水平脚より肛門側は描出できなかった.アシドーシス,炎症反応の上昇を認め,絞扼性イレウスを疑い緊急開腹した.虫垂と後腹膜が癒着して形成されたヘルニア門に,回腸が上行結腸の外側から陥入し循環障害をきたしており,小腸切除及び虫垂切除を施行した.乳児早期の急性腹症は術前診断が困難であるが,内ヘルニアによる絞扼性イレウスを念頭に置き時期を逸しない手術を考慮すべきである.