2017 年 53 巻 5 号 p. 1037-1041
術前画像検査の結果により頸部アプローチで根治術を施行したGross C型(Kluth IIIb3型)食道閉鎖症の1例を報告する.症例は胎児期に右肺低形成を指摘されていた双胎の第2子の女児.在胎37週2日,2,080 gで出生した.出生後胸部単純写真でcoil up signを認め,食道閉鎖症と診断した.肺と気管支の形態と呼吸状態の評価後に根治術を行う方針とし,日齢0に胃瘻造設術を施行した.この時の気管支鏡検査で気管分岐部の13 mm上方に気管食道瘻(TEF)が認められた.CTで上部食道盲端とTEFが第2胸椎のレベルに確認された.頸部アプローチが吻合しやすいと判断し,日齢5に頸部アプローチで根治術を施行した.鎖骨上縁の1 cm頭側,正中より左寄り約3 cmの前頸部横切開で手術を行った.現在術後1年であるが良好に経過している.術前の気管支鏡検査とCT検査が病型の把握の他,手術アプローチを決定するために有用と考えられた.