2017 年 53 巻 5 号 p. 1064-1067
症例は3歳女児,繰り返す発熱と咳嗽を主訴に近医を受診した.胸部X線検査で右上肺野に腫瘤性病変を認め当院紹介となった.胸部CT検査では右胸腔内に巨大な腫瘤を認め,縦隔は左前方に偏位していた.腫瘤は脂肪成分が主体で造影効果を認めず脂肪芽腫が疑われたが,悪性疾患も否定はできず,呼吸器症状の増悪もみられたため準緊急的に摘出術を行った.腫瘍は黄色調の広基性腫瘍であり基部は第4~5肋間であった.第5肋骨の変形と胸壁との強固な癒着が見られ,同部位が原発と考え,肋骨骨膜及び壁側胸膜も合併切除し腫瘍を摘出した.術後病理診断は脂肪芽腫であった.脂肪芽種は3歳以下の乳幼児の四肢に多く胸壁原発の報告は少ない.本例は術後再発率が低くないdiffuse typeで,胸壁に腫瘍残存の可能性があったことから,慎重な経過観察が必要である.