日本小児外科学会雑誌
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症例報告
鼠径管内に発生した血管腫の1例
濵田 洋濵田 吉則白井 剛髙橋 良彰坂口 達馬中村 有佑諸冨 嘉樹權 雅憲
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2017 年 53 巻 5 号 p. 1068-1072

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抄録

鼠径管内に発生した非常に稀な海綿状血管腫(静脈奇形)の症例について報告する.症例は11歳の男子.乳児期からの左鼠径部腫脹を主訴に当院紹介となった.左鼠径ヘルニアの術前診断のもと鼠径部切開による手術を施行した.しかし,鼠径管内に青く透見される腫瘤を認めたため,精索静脈瘤を疑い初回手術を終了した.その後,再手術にて腫瘤全摘出を施行し,海綿状血管腫と診断した.小児の精索周囲に発生した血管腫は,本症例を含め文献上2例の報告に過ぎない.鼠径ヘルニアの術前検査における身体診察,病歴聴取は慎重に行うべきである.後方視的に,超音波検査で血管腫の特徴的所見である後方陰影の増強を認め,非典型的な鼠径ヘルニアにおいて重要な所見であると考えられた.

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