日本小児外科学会雑誌
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症例報告
小児鼠径ヘルニアに対する安全な腹腔鏡下経皮腹膜外ヘルニア閉鎖術
―膨潤LPEC―
山根 裕介篠原 彰太白石 斗士雄吉田 拓哉田浦 康明小坂 太一郎江口 晋永安 武大畠 雅之
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2017 年 53 巻 6 号 p. 1191-1194

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抄録

男児鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下経皮腹膜外ヘルニア閉鎖術(LPEC)において,腹膜前筋膜浅葉と深葉の間にある精管,精巣動静脈を安全に剥離することは重要である.既存のラパヘルクロージャーを改造したシリンジ接続型ラパヘルクロージャーを用いて生理食塩水を注入することで,同部を安全に剥離することが可能となった.今回,剥離部位に生理食塩水を注入する膨潤LPECを4例(6病変)経験したので報告する.術者は当科を2か月間ローテーションした後期研修医で,いずれの症例も膨潤LPECにより血腫形成などの合併症なく完遂可能であった.膨潤LPECは生理食塩水を注入すること以外,従来のLPECと変わらない.執刀経験の浅い若手外科医にとって,膨潤LPECからLPECに段階的かつ安全に経験を積むことができうる術式である可能性が示唆された.

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