日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
53 巻 , 6 号
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おしらせ
挨拶
プログラム
原著
  • 矢本 真也, 福本 弘二, 高橋 俊明, 関岡 明憲, 野村 明芳, 大山 慧, 山田 豊, 漆原 直人
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1139-1143
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】Hirschsprung病類縁疾患には,重篤なイレウス症状を呈するものから頑固な便秘を臨床症状とするものまでその重症度は多彩である.なかでも広範囲型Hirschsprung病類縁疾患は予後不良で,小腸移植の適応となる疾患群であり,慢性的な腸閉塞症状を継続または反復する疾患である.病変部は全腸管に及んでいることが多く,明確な閉塞部位がないため,腸管減圧のための腸瘻をどこに造設するべきなのかは議論の的である.今回,当疾患において腸管減圧可能な腸瘻造設部位について後方視的検討を行なったので報告する.

    【方法】1980年以降,当科にて治療を行なった広範囲型Hirschsprung病類縁疾患11例を対象とした.内訳は慢性特発性偽性腸閉塞(chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction;CIIP)4例,腸管神経節細胞僅少症(isolated hypogaglionosis;HP)4例,巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症(megacystis-microcolon-intestinal hypoperistalsis syndrome;MMIHS)3例であり,のべ22回の減圧手術を行なった.機能的腸管長・身長比(IH比)をパラメータとして,術後腸管減圧可能であった群と不十分であった群を比較検討した.

    【結果】術後腸管減圧可能であった手術群と不十分であった手術群のIH比の中央値は,CIIP:1.63 vs 3.65,HP:0.8 vs 2.2,MMIHS:0.63 vs 2.78であり,ROC解析のカットオフ値はCIIP:2.75(p=0.11),HP:0.8(P=0.002),MMIHS:0.7(P=0.02)であった.

    【結論】広範囲型Hirschsprung病類縁疾患は稀少疾患であり,統計学的根拠を示すことは難しいが,当研究にて腸瘻の位置としてHPでは十二指腸から身長×0.8 cmの上部空腸に,MMIHSは身長×0.7 cmの上部空腸に立てることが有効である可能性が示唆された.

  • 春松 敏夫, 内田 豪気, 藤村 匠, 加藤 源俊, 石岡 茂樹, 下高原 昭廣, 小森 広嗣, 下島 直樹, 廣部 誠一
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1144-1148
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】当院ではC型食道閉鎖症根治術時にFogartyカテーテルを用いた気管食道瘻(TEF)遮断法を施行し,換気の安定化を図っている.また,軟性気管支鏡での観察も行っている.Fogartyカテーテルの留置方法と気管支鏡検査の有用性について検討する.

    【方法】2010年から2016年の間にC型食道閉鎖症根治術の際にFogartyカテーテルの留置を試みて,根治術を行った20例を対象とし診療録より後方視的に検討した.術前にTEFへFogartyカテーテルを留置し,TEFの遮断後に手術を行った.

    【結果】TEFへのFogartyカテーテルの留置は,20例中19例(95%)に行うことができた.胃瘻造設を行った症例は認めなかった.手術開始からTEF確保までの平均時間は27分(17~47分),平均手術時間は116分(73~165分)であった.Fogartyカテーテル留置により呼吸管理は安定し,人工呼吸器での陽圧換気を行うことができた.記載のあった15例中8例に盲目的留置を行うことができていた.TEFが気管分岐部に近い症例ではFogartyカテーテルが挿入しやすい傾向がみられた.全例に軟性気管支鏡での観察を行った.TEFが頭側寄りに位置している1例で,第3肋間でのアプローチへと変更した.

    【結論】小切開下での狭い視野での手術において,FogartyカテーテルによるTEF遮断法は,換気が安定し,TEF同定のメルクマールにもなった.また,気管支鏡での観察により,TEFの位置や大きさの確認もでき,術式の検討にも有益であった.FogartyカテーテルによるTEF遮断法は簡便で安全・低侵襲に行うことができ有用であると思われた.

  • 仲谷 健吾, 平山 裕, 飯沼 泰史, 倉八 朋宏, 中原 啓智, 岡崎 英人
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1149-1154
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】今回著者らは,ロタウイルスワクチン接種(RV)後の腸重積症(本症)における臨床的特徴をもとに,その治療方針を検討したので報告する.

    【方法】2008年1月から2016年12月の間に本症と診断し,治療を行った生後6か月以下の18例を対象とした.これらをRV歴の有無,手術の有無をもとにRV/OP群(2例),RV/non-OP群(3例),non-RV/OP群(5例),non-RV/non-OP群(8例)の4群に分類し,①発症時の日齢,②発症から初回の高圧注腸整復法開始までに要した時間,③高圧注腸整復法の最大整復圧,④初診時の血中尿素窒素値(BUN),⑤RV/OP群とnon-RV/OP群の術中所見の違いについて検討を行った.

    【結果】RV/OP群では他群よりも発症時の日齢が低く,高圧注腸整復までの時間が短い傾向があった.また,最大整復圧はnon-RV/non-OP群で低い傾向があった.BUNについてはRV歴の有無にかかわらず手術群で高く,非手術群で低い傾向を認めた.RV/OP群に共通した術中所見として,最大径18~20 mmの回盲部リンパ節(LN)腫大を認めたが,non-RV/OP群では10 mmを超えたLN腫大は1例のみであった.なお,RV/OP群では2例とも初回接種後おおよそ2週間以内(4日後・15日後)の発症であった.一方,RV/non-OP群は全例2回目以降の接種後発症であった.

    【結論】初回RV後2週間以内の発症例は,急激に生じるLN腫大が整復を物理的に妨げる可能性があるため,手術治療を積極的に考慮すべきである.また,2回目以降の接種例においては非観血的整復法が比較的有用であると考えられた.

  • 後藤 悠大, 増本 幸二, 新開 統子, 千葉 史子, 小野 健太郎, 坂元 直哉, 五藤 周, 瓜田 泰久, 高安 肇
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1155-1160
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】小児精巣腫瘍は全小児固形腫瘍の約1~2%とまれであり,病理組織学的特徴や生物学的特性・予後が成人症例とは異なる.今回,当科で経験した小児精巣腫瘍の臨床的特徴を検討した.

    【方法】当科開設以来の小児精巣腫瘍を後方視的に検討し,小児精巣腫瘍の臨床的特徴や予後,治療の妥当性について検討した.

    【結果】当科が開設された1979年から2016年までの37年間における15歳未満の精巣腫瘍は9例であり,内訳は成熟奇形腫4例,未熟奇形腫1例,胎児性癌1例,卵黄囊腫瘍3例であった.術前画像でリンパ節転移が疑われた症例はなく,病期は全例がI期であった.手術は術前より成熟奇形腫が疑われた1例に腫瘍核出術が行われたが,その他の症例では高位精巣摘除術が行われた.胎児性癌の1例のみ後腹膜リンパ節郭清術が施行された.いずれの症例も化学療法は施行されなかった.術後経過観察期間は平均5.2年(中央値3年)であり,全例に再発は認めていない.

    【結論】小児精巣腫瘍I期に対して高位精巣摘除術のみで経過観察を行い,再発・転移を認めず予後良好な結果であった.われわれの経験からは,思春期前の小児精巣腫瘍I期に対して,術後化学療法を行わず高位精巣摘除術のみとする治療法は妥当性のある治療の一つと考えられた.

  • 李 慶徳
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1161-1165
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】小児日帰り腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure: LPEC)における腹腔鏡下腹直筋鞘ブロック(laparoscopic rectus sheath block: L-RSB)の有用性を検討した.

    【方法】対象は女児鼠径ヘルニア57例とし診療録をもとに後方視的に検討した.Potts法にて根治術を施行した群をPotts群(n=19)とした.LPEC法に,L-RSBを施行した群をL-RSB群(n=28),臍周囲皮下に局所浸潤麻酔(local anesthetic infiltration: LAI)を施行した群をLAI群(n=10)とした.Face Pain Sale(FPS:0-5点)を用いて帰室後0分,30分,60分,180分での疼痛を評価した.3群間でFPS合計点,術後鎮痛薬使用人数および予定外入院数を比較検討した.

    【結果】FPS合計点,術後鎮痛薬使用人数および予定外入院数はそれぞれPotts群で1.53±4.39点,2/19例,1/19例,L-RSB群で2.68±4.69点,5/28例,2/28例,LAI群で9.43±7.90点,7/10例,4/10例であった.いずれの評価項目においてもPotts群とL-RSB群の間に有意差は認めず,LAI群に対してほか2群で有意差を認めた(P<0.05).

    【結論】L-RSBは安全かつ簡便で,LPEC術後鎮痛対策として有効性が示唆された.

症例報告
  • 古澤 敬子, 竜田 恭介, 石本 健太, 古賀 義法, 財前 善雄, 久田 正昭, 孝橋 賢一
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1166-1169
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    膿瘍形成性虫垂炎において,膿瘍が回腸へ穿通した稀な1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は9歳の男児で,発熱と腹痛を繰り返し,症状出現より5日目に当科を受診した.膿瘍形成性虫垂炎の診断でinterval appendectomyの方針とし,抗菌剤投与を行った.しかし,症状の増悪を認め,入院3日目に緊急手術を施行した.S状結腸右側に虫垂と連続する膿瘍を認め,この膿瘍は回腸へ穿通していた.虫垂切除,回腸部分切除・端々吻合術及び腹腔内ドレナージを行い,術後経過は良好であった.虫垂炎において,虫垂が腸管や膀胱と内瘻を形成した報告は散見されるが,膿瘍が他臓器に穿通することは稀である.虫垂炎による膿瘍の回腸への穿通は本邦報告例を検索する限り,本症例のみであった.治療開始までに長期間を要した膿瘍形成性虫垂炎の加療においては,他臓器との穿通の可能性についても留意しておく必要があると思われた.

  • 古来 貴寛, 幸地 克憲, 武之内 史子, 松岡 亜記, 中田 千香子
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1170-1175
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    先天性十二指腸閉鎖症は膵管癒合不全など膵胆道系合併症を伴うことがある.今回我々は,輪状膵を伴わない膜様型十二指腸閉鎖症術後に,総胆管のY字型開口,膵管癒合不全を原因とするうっ滞性膵炎を繰り返し,開腹下副乳頭形成術を施行した1例を経験したので報告する.症例は2歳男児.日齢1に膜様型十二指腸閉鎖症に対し根治術を他院で施行され,術後2年で再発性膵炎を発症した.精査加療目的に2度endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)を施行し,完全型膵管癒合不全,総胆管のY字型開口の診断となった.膵管癒合不全に伴う相対的副乳頭狭窄が原因の膵炎と考えられ,開腹下副乳頭形成術を施行し,術後2年1か月現在再発無く経過している.膵管癒合不全に伴う再発性膵炎に対する副乳頭形成術は第1選択術式と考えられた.

  • 藤井 俊輔, 増本 幸二, 瓜田 泰久, 佐々木 理人, 千葉 史子, 坂元 直哉, 五藤 周, 新開 統子, 高安 肇, 田中 秀明
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1176-1180
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    ヘルニア囊に異所性肝組織の迷入を認めた先天性右横隔膜ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は在胎37週,体重2,480 gで出生した女児で,出生前の画像検査で,右胸腔内のほとんどが脱出臓器で占められ,重度の肺低形成が予想された.しかし,出生後はgentle ventilationにより呼吸状態は比較的早期に安定化し,日齢2に根治術を施行した.横隔膜内側2/3が欠損した有囊性横隔膜ヘルニアであり,ヘルニア囊切除後に欠損部をGore-Tex® sheetで閉鎖した.術後経過は比較的良好であった.切除したヘルニア囊は病理学的に異所性肝組織を有していた.ヘルニア囊への異所性肝組織迷入は稀な所見であるが,先天性横隔膜ヘルニアの成因を発生学的に考察する上で興味深い所見であった.

  • 金森 大輔, 芦塚 修一, 馬場 優治, 平松 友雅, 田中 圭一朗, 吉澤 穣治, 大木 隆生
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1181-1185
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    脂肪芽腫は乳幼児の体幹および四肢に好発する比較的稀な良性腫瘍である.無痛性で急速増大傾向を示すことから脂肪肉腫との鑑別が問題となる.臀部に発生したものはこれまでに8例の報告のみであり,いずれも2歳以下であった.今回,学童の臀部に発生した脂肪芽腫を経験したので報告する.症例は7歳の男児で川崎病の既往があるが合併症なく経過している健康な児であった.右臀部に徐々に増大する無痛性腫瘤を認め受診した.身体所見で同部にクルミ大の可動性良好な弾性硬の腫瘤を認め,MRIにて境界明瞭な類円形腫瘤を示し,T1およびT2強調画像で高信号,脂肪抑制を認めた.DWIやSTIRでは高信号であり脂肪成分以外の混在も考慮され術前に奇形腫が疑われた.腹臥位で臀裂に沿って切開し,被膜に覆われた腫瘍は一塊として切除可能であった.合併症なく術後7日で退院し,病理診断は脂肪芽腫であった.

  • 城之前 翼, 大滝 雅博, 二瓶 幸栄, 鈴木 聡, 三科 武
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1186-1190
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    症例は13歳女児.1週間継続する左乳房の発赤・腫脹を主訴に当院を受診し,左乳腺膿瘍の診断で入院となった.減圧のため穿刺排膿し採取した塗抹検査結果はグラム陽性球菌(GPC)3+であった.Vancomycin(VCM)を開始し排膿散及湯も併用したところ,入院4日目に自潰し多量の排膿を認めた.培養検査結果でmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus(MSSA)3+であり感受性結果より抗菌薬をcefazolin(CEZ)に変更した.入院10日目に抗菌薬終了,入院11日目に退院となった.退院後7日目に排膿散及湯終了,退院後18日目には自潰部はほぼ上皮化していた.排膿散及湯は主に皮膚や粘膜の化膿性疾患に用い,疼痛軽減の作用や自潰部は排膿しきるまで閉鎖されないなどの特徴を有する.本症例では疼痛軽減や,巨大膿瘍寛解まで自然排膿される効果が確かめられた.

  • 山根 裕介, 篠原 彰太, 白石 斗士雄, 吉田 拓哉, 田浦 康明, 小坂 太一郎, 江口 晋, 永安 武, 大畠 雅之
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1191-1194
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    男児鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下経皮腹膜外ヘルニア閉鎖術(LPEC)において,腹膜前筋膜浅葉と深葉の間にある精管,精巣動静脈を安全に剥離することは重要である.既存のラパヘルクロージャーを改造したシリンジ接続型ラパヘルクロージャーを用いて生理食塩水を注入することで,同部を安全に剥離することが可能となった.今回,剥離部位に生理食塩水を注入する膨潤LPECを4例(6病変)経験したので報告する.術者は当科を2か月間ローテーションした後期研修医で,いずれの症例も膨潤LPECにより血腫形成などの合併症なく完遂可能であった.膨潤LPECは生理食塩水を注入すること以外,従来のLPECと変わらない.執刀経験の浅い若手外科医にとって,膨潤LPECからLPECに段階的かつ安全に経験を積むことができうる術式である可能性が示唆された.

  • 小林 完, 小森 広嗣, 春松 敏夫, 馬場 優治, 加藤 源俊, 山本 裕輝, 立花 奈緒, 村越 孝次, 廣部 誠一
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1195-1199
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    症例は2歳,男児.6か月時より頻回の嘔吐があり胃食道逆流症を疑い上部消化管内視鏡を施行した.上部食道に異物を認め陳旧性食道異物と診断した.内視鏡的摘出を試みたが食道壁への陥入が強く把持困難のため断念した.CTで上縦隔に膿瘍を認めた.食道の安静目的に胃瘻造設術を施行.異物のはまり方により食道内,胸腔側のどちら側からでも摘出できる工夫として内視鏡と胸腔鏡を併施し協調作業で摘出を行う方針とした.内視鏡および硬性鏡での鉗子把持は困難だった.胸腔鏡では膿瘍腔を同定したが食道壁との境界の判断が困難であった.内視鏡のガイドにより食道壁を損傷することなく膿瘍腔壁を同定でき切開し膿汁を得た.ここに鉗子を挿入すると異物が食道内に押し戻され内視鏡下に鉗子で摘出することができた.内視鏡と胸腔鏡の併施により食道内外からのアプローチが可能となり安全,確実な異物摘出を施行できた.

  • 李 慶徳
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1200-1205
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    慢性腹痛の原因のひとつとして腹壁の前皮枝が原因となるAnterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome(ACNES)がある.ACNESは認知度が低く見落とされがちであるが,小児慢性腹痛の10~30%をACNESが占めるとされ決して見過ごすべきでないと報告されている.今回我々は,腸骨下腹神経切離を施行しすみやかに治癒しえたACNESの1例を経験したので報告する.8歳男児.右鼠径部痛を主訴に整形外科医より鼠径ヘルニアを疑われ紹介となった.初診時,右下腹部恥骨上に圧痛およびCarnett signを認めた.本人および両親ともに手術を希望した.手術では審査腹腔鏡および腸骨下腹神経切離術を施行した.覚醒後より右鼠径部痛は消失した.本症例は腸骨下腹神経に関連したACNESと診断した.小児の慢性腹痛に対してACNESを常に念頭に置くべきであると思われた.

  • 花田 学, 大橋 研介, 川島 弘之, 細田 利史, 古屋 武史, 越永 従道
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1206-1209
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    好酸球性胃腸炎は消化管粘膜の浮腫,発赤,びらんや潰瘍を示し治療に難渋することが多い.今回十二指腸潰瘍による全周性の瘢痕狭窄を認め,アレルゲン除去療法が奏功した好酸球性胃腸炎を経験した.症例は3歳の男児で嘔吐を繰り返し,他院で1年間の加療を行うも十二指腸狭窄が改善せず当院に紹介された.胃粘膜生検で好酸球浸潤があり,放射性アレルゲン吸着試験でウシミルク,ラクトアルブミンで陽性を示し好酸球性胃腸炎の診断となった.乳製品除去を行い十二指腸狭窄は改善した.好酸球性胃腸炎はびらんや潰瘍形成だけでなく,潰瘍瘢痕による狭窄を起こしえる.今回の症例ではアレルゲン除去療法が治療に有用であった.繰り返す難治性の胃潰瘍,十二指腸潰瘍に瘢痕狭窄を認めた場合は好酸球性胃腸炎の可能性を考慮し,診断が得られればすみやかにアレルゲン除去療法を開始する必要がある.

  • 矢本 香織, 川原 央好, 漆原 直人
    2017 年 53 巻 6 号 p. 1210-1214
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー

    ヒルシュスプルング病類縁疾患は,機械的閉塞を伴わない慢性的腸閉塞症状を特徴とする難治性疾患である.その診断は,生検や造影検査などでなされるが,新生児・乳児期では困難である.今回,慢性特発性偽性腸閉塞症(CIIP)と診断された症例においてACTG2遺伝子変異を同定したので報告する.症例は17歳の男児で,胎児期より巨大膀胱が認められ,生後2か月より腸閉塞症状を繰り返した.11歳時,腸管全層生検を施行され,神経叢に形態異常が認められないことから,CIIPと診断された.本人と両親および同胞2人に対して,次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析を施行し,ACTG2遺伝子のde novoミスセンス変異(c.769C>T, p.(Arg257Cys))を同定した.現在までに53家系でACTG2遺伝子変異が報告されており,今後,ACTG2の遺伝子解析がヒルシュスプルング病類縁疾患の早期診断に有用な方法となると期待される.

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