2017 年 53 巻 6 号 p. 1206-1209
好酸球性胃腸炎は消化管粘膜の浮腫,発赤,びらんや潰瘍を示し治療に難渋することが多い.今回十二指腸潰瘍による全周性の瘢痕狭窄を認め,アレルゲン除去療法が奏功した好酸球性胃腸炎を経験した.症例は3歳の男児で嘔吐を繰り返し,他院で1年間の加療を行うも十二指腸狭窄が改善せず当院に紹介された.胃粘膜生検で好酸球浸潤があり,放射性アレルゲン吸着試験でウシミルク,ラクトアルブミンで陽性を示し好酸球性胃腸炎の診断となった.乳製品除去を行い十二指腸狭窄は改善した.好酸球性胃腸炎はびらんや潰瘍形成だけでなく,潰瘍瘢痕による狭窄を起こしえる.今回の症例ではアレルゲン除去療法が治療に有用であった.繰り返す難治性の胃潰瘍,十二指腸潰瘍に瘢痕狭窄を認めた場合は好酸球性胃腸炎の可能性を考慮し,診断が得られればすみやかにアレルゲン除去療法を開始する必要がある.