2017 年 53 巻 7 号 p. 1284-1287
幽門筋切開術(ラムステッド手術)を行うことにより肥厚性幽門狭窄症の大部分の症例は症状が改善するが,稀に残存した幽門筋肥厚により術後に嘔吐が遺残し再手術を要することがある.現在広く普及しているTan-Bianchi法で初回手術が施行されている場合,同一法での再手術は瘢痕や癒着などによる手術困難が予想されるが,このリスクは同一創を用いて右上腹部で開腹する臍sliding window法を用いることで軽減できると考えられる.症例は7か月男児で,Tan-Bianchi法を用いて新生児期に幽門筋切開術を行ったが術後嘔吐が遺残し持続した.画像所見にて幽門通過障害と幽門筋肥厚を認め,臍sliding window法にて幽門筋再切開術を行った.手術操作は容易であり,術後経過は良好であった.嘔吐症状は消失し創部の整容性も良好であった.