2018 年 54 巻 2 号 p. 285-289
23歳女性.肛門管重複症の診断にて生後8か月に同部の摘出術を施行された.成人期まで特に問題なく経過していたが,半年前より続く排便時の違和感および下腹部痛を主訴に近医を受診した.腹部CT検査施行にて骨盤内に腫瘤病変を指摘され,当科に紹介となった.精査の結果,仙骨前面に径4 cm大の囊胞性病変を認め下部直腸に接して存在することから,直腸重複症もしくは肛門管重複症の遺残を疑い,摘出手術を行った.経仙骨正中切開にて手術を行ったところ,肛門挙筋の直下に腫瘤が認められたが病変部は直腸と壁を共有しておらず,同部の摘除のみを行った.病理所見上,内腔の一部に肛門腺とみられる腺腔構造を認め膿汁も貯留していたことから術後遺残膿瘍と診断した.乳児期に手術した症例で成人期に術後遺残膿瘍にて発症した症例の報告はこれまでにない.肛門粘膜の遺残により長期的に膿瘍形成を来す恐れがあり,初回手術時には十分な摘出を行う必要がある.