日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
保存的治療で軽快した特発性大網捻転症の1例
横田 一樹内田 広夫田中 裕次郎田井中 貴久城田 千代栄檜 顕成住田 亙加藤 充純大島 一夫千馬 耕亮
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 54 巻 2 号 p. 302-306

詳細
抄録

特に既往のない5歳男児.発熱と下腹部痛を認め,急性虫垂炎の疑いで当院を紹介受診した.血液検査で炎症反応の上昇を認めたもののCTでは虫垂の腫大はなく,上行結腸の壁肥厚を認めたため急性腸炎の診断で抗菌薬投与を開始した.再度CTを見直したところ渦巻き状を呈する脂肪吸収値腫瘤を認め,特発性大網捻転症と診断した.症状は軽快していたためこのまま保存的治療を継続し,4日目に軽快退院した.大網捻転症は特に小児では比較的稀な疾患であり,過去においては手術治療が原則とされてきたため,保存的治療例の報告は少ない.症状が類似しているため急性虫垂炎などと診断されて手術が行われる例も多いが,近年はCTなどの画像診断技術の進歩により診断が可能な例が増えてきた.大網捻転症の中には保存的治療が可能なものもあり,大網捻転症と診断できた場合は保存的治療も選択肢の一つとして考慮するべきと考えられた.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top