2018 年 54 巻 6 号 p. 1226-1230
副脾は多くが無症状で経過し,臨床上問題となることは非常に稀である.副脾茎捻転の頻度は少なく,特異的な所見に乏しいため術前に診断することが困難な場合が多い.術前診断が可能であった症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は8歳,男児.左上腹部に激しい腹痛を主訴に受診.腹部エコーで脾臓下極近傍に脾臓と同様な内部が均一のエコー輝度の充実性腫瘤を数個認めた.その中の最大径の腫瘤が疼痛部に一致して存在し,カラードップラーではその腫瘤だけ血流所見を認めなかった.腹部造影CTでは造影効果が乏しく,脾動脈から連続し腫瘤手前で途絶する血管を認めた.以上の所見より副脾茎捻転と診断し,腹腔鏡下副脾摘出術を施行した.合併症なく術後5日で退院となった.脾副脾の解剖学的位置および血流障害の画像所見は,術前診断に非常に有用であった.