日本小児外科学会雑誌
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54 巻, 6 号
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おしらせ
プログラム
原著
  • 小松崎 尚子, 橋詰 直樹, 浅桐 公男, 深堀 優, 石井 信二, 七種 伸行, 東舘 成希, 吉田 索, 田中 芳明, 八木 実
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1194-1197
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】移動性精巣の外科的治療方法は精巣固定術であるが,精巣固定術の場合に鼠径部からの腹膜鞘状突起(patent processus vaginalis:以下PPV)の高位結紮を行うことが標準術式とされる.しかし移動性精巣は精巣の牽引が容易であることから,経陰囊的に精巣を牽引し陰囊内に固定することが可能である.よって鼠径部からの高位結紮を省略する方法も施行されている.この場合PPVの有無が術後の鼠径ヘルニアの合併を来す可能性が危惧される.我々は移動性精巣の治療の際に腹腔鏡でPPVを確認し,PPV陽性は高位結紮付加,陰性例は陰囊固定のみを選択している.移動精巣におけるPPVの有無について検討した.

    【方法】当施設における外科的治療を行った4歳未満の移動性精巣症例で,腹腔鏡下PPV確認を行った24症例39精巣に対しPPVの有無について検討した.

    【結果】左右側数は両側15症例,右側のみが2症例,左側のみが7症例であった.精巣挙上範囲は鼠径部までが18精巣,陰囊上部までが21精巣であった.PPV陽性例は5精巣であり,右2例,左3例であり,左右側や精巣挙上範囲の有意差は認められなかった.術後の鼠径ヘルニア発症は認められなかった.

    【結論】今回の検討では移動性精巣のPPV陽性率は従来報告されている鼠径ヘルニアの対側PPV陽性率よりも低く,陰囊アプローチのみで精巣固定しPV結紮を省略することは可能だと思われる.

  • 清水 裕史, 尾形 誠弥, 遠藤 浩太郎, 山下 方俊, 田中 秀明
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1198-1203
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】新生児卵巣囊腫は,生後早期の手術でもしばしば壊死を呈するため,妊孕性温存のためにはそのリスク評価が重要である.今回我々は,出生前診断を受けた卵巣囊腫症例の画像所見を後方視的に調査し,血流障害の危険因子や今後の治療方針について検討した.

    【方法】2003年から2016年まで当科で経験した18例を対象とした.出生前および出生後の画像検査を元に,発見週数,左右位置変化,内部性状,囊腫径(出生前の最大時・出生直後)について経時的にまとめ,さらに臨床症状の有無,手術日齢,遊離・捻転の有無,術式,病理所見について調査を行った.

    【結果】全18例中simple cystの7症例は自然退縮した.その他の11症例は,complex cyst症例および囊腫径4 cm以上または他疾患との鑑別困難なsimple cyst症例を手術適応として,腹腔鏡補助下に囊腫切除または付属器切除を施行した.手術所見では11例中8例に血流障害を認め,卵巣茎捻転が3例,遊離卵巣囊腫が2例,囊腫壁壊死が3例であった.また,出生前から出生後の画像検査にて,これら血流障害8例の全てに椎体を超える左右位置変化,complex cyst所見を認めた.囊腫径については,出生前最大時と出生直後を比較した囊腫径変化率は,血流障害8例で-6.79±7.06%,非血流障害+自然縮小の計10例で-24.69±16.29%であった(P=0.008).

    【結論】新生児卵巣囊腫における血流障害の危険因子としては,画像検査でのcomplex cyst所見に加え,囊腫の左右位置変化や囊腫径が縮小しないことが考えられた.また上記所見を認めた場合は,可及的速やかな外科介入を検討し,卵巣温存に努めるべきと考えられた.

  • 内田 豪気, 廣部 誠一, 春松 敏夫, 藤村 匠, 加藤 源俊, 石岡 茂樹, 富田 紘史, 下高原 昭廣, 下島 直樹
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1204-1209
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    【目的】重症心身障碍児の繰り返す難治性誤嚥性肺炎に対して,喉頭気管分離術(laryngotracheal separation,以下LTS)が一般的に行われている.合併症を減らし長期管理しやすい術式が必要であり,様々な工夫を行ってきた.今回気管断端瘻に対して前頸筋群による筋弁が有用かを後方視的に検討した.

    【方法】2010年3月よりH型皮弁形成によるLTSを採用し,2012年1月より前頸筋群による筋弁を頭側気管断端に縫合被覆する術式を加えた.2010年6月から2017年5月の過去6年間に行った77例を対象に筋弁の有用性について検討を行った.筋弁を使用していない17例をI群,筋弁を使用した60例をII群として比較検討を行った.

    【結果】手術時年齢はI群―中央値3歳6か月,II群―中央値4歳5か月.男女比はI群―12例:5例,II群―35例:25例.平均手術時間の比較は,気管切開(+)ではI群76.85分,II群94.85分で有意差を認めた(p=0.031).気管切開(-)ではI群83分,II群91.87分で有意差を認めなかった(p=0.371).出血量は全例少量であり術中合併症は認めなかった.術後合併症としてI群では肉芽形成(64.7%),気管断端瘻(11.7%),II群では肉芽形成(75%),皮膚潰瘍(3.3%),創離開(3.3%),心停止(1.6%)を認めた.合併症では気管断端瘻のみ両群間で有意差を認めた(p=0.046).

    【結論】重症心身障碍児に対するLTSにおいて,筋弁の使用は気管断端瘻のリスク低減が期待され,安全な長期管理が行えると考えられた.

症例報告
  • 五嶋 翼, 石丸 哲也, 藤代 準, 杉山 正彦, 新井 真理, 魚谷 千都絵, 小西 健一郎, 宮川 亨平, 岩中 督
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1210-1215
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    メッケル憩室穿孔による胎便性腹膜炎は稀であるが,文献上,憩室を含む腸管切除が施行されることが多い.我々は,回盲弁から非常に近いメッケル憩室の穿孔による胎便性腹膜炎に対して,憩室の楔状切除で術後経過が良好であった1例を経験したので報告する.症例は在胎32週4日に2,133 gで出生した男児.全身状態は安定していたが,出生直後の腹部エコーで肝下面に高輝度の砂粒状陰影を伴う腫瘤を指摘された.日齢1に腹部膨満が増強し,単純X線撮影で腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.腹腔内に石灰化した胎便が散在し,回盲弁から1 cm口側の腸間膜対側に穿孔した憩室を認めた.肛門側腸管に明らかな狭窄を認めず,憩室の楔状切除のみを行った.術中所見でmesodiverticular bandを伴ったことから,本症例はメッケル憩室の穿孔による胎便性腹膜炎と診断した.術後経過は良好で43病日に退院した.術後5年経過するが明らかな異常を認めていない.

  • 石橋 脩一, 久守 孝司, 仲田 惣一, 太田 陽子, 田島 義証
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1216-1220
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    症例は3歳女児.発熱と炎症反応高値で近医に入院した際に腹部CT検査で左上腹部に脂肪織濃度を示す占拠性病変を認め,当科紹介となった.悪性を疑う所見はなく,後腹膜脂肪腫の診断で経過観察したところ,1年2か月後の腹部CT検査で腫瘍の増大を認めた.腫瘍は大網の背側に位置し,脾臓と横行結腸に囲まれるように存在していた.腹腔鏡下に腹腔内観察すると,腫瘍は横行結腸間膜前葉内にあり,これを摘出した.腫瘍は9×8×6 cm大の楕円形の腫瘤で,成熟した脂肪細胞からなり,横行結腸間膜脂肪腫と診断した.術後経過は良好で,術後5日目に退院した.小児の腸間膜脂肪腫は脂肪芽腫や粘液性脂肪腫との鑑別が問題となるが,術前検査で脂肪腫と診断できれば,拡大視効果や手術創の整容性に優れた腹腔鏡下手術が有用である.しかし術中に周囲浸潤などの悪性所見あるいは腫瘍被膜の損傷が懸念される場合は躊躇なく開腹に移行すべきと考える.

  • 津川 二郎, 西島 栄治
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1221-1225
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    Y染色体を含むTurner症候群では,性腺芽細胞腫(gonadoblastoma)の発症が問題となる.今回われわれは,腫瘍破裂による急性腹症により発見された性腺芽細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は,11歳女児.5歳時にTurner症候群と診断され他院で成長ホルモン治療を受けていた.激烈な腹痛を主訴に救急搬送され,腹部CT検査にて卵巣腫瘍破裂が疑われ緊急手術を行った.左卵巣に9 cm大の充実性腫瘤を認め,一部被膜が破裂し腹腔内に1,200 mlの血性腹水を認めた.腫瘍は,子宮底部に強固に癒着し捻転は認めず,左卵巣摘出術を行った.病理検査で,精細管様細胞を含むgonadoblastomaと診断され,正常卵巣成分は認めなかった.基礎疾患としてTurner症候群(45XO,46XYモザイク型)があり,対側卵巣の切除を計画したが,両親の同意を得られず現在は慎重に経過観察を行っている.

  • 桑原 強, 河野 美幸, 安井 良僚, 里見 美和, 中村 清邦, 木戸 美織
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1226-1230
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    副脾は多くが無症状で経過し,臨床上問題となることは非常に稀である.副脾茎捻転の頻度は少なく,特異的な所見に乏しいため術前に診断することが困難な場合が多い.術前診断が可能であった症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は8歳,男児.左上腹部に激しい腹痛を主訴に受診.腹部エコーで脾臓下極近傍に脾臓と同様な内部が均一のエコー輝度の充実性腫瘤を数個認めた.その中の最大径の腫瘤が疼痛部に一致して存在し,カラードップラーではその腫瘤だけ血流所見を認めなかった.腹部造影CTでは造影効果が乏しく,脾動脈から連続し腫瘤手前で途絶する血管を認めた.以上の所見より副脾茎捻転と診断し,腹腔鏡下副脾摘出術を施行した.合併症なく術後5日で退院となった.脾副脾の解剖学的位置および血流障害の画像所見は,術前診断に非常に有用であった.

  • 馬場 徳朗, 川野 孝文, 池江 隆正, 大西 峻, 中目 和彦, 向井 基, 加治 建, 義岡 孝子, 野口 啓幸, 家入 里志
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1231-1235
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    稀な限局性十二指腸拡張症(以下本症)の1例を経験したので報告する.症例は1歳女児.検診にて腹部膨隆を指摘され,精査目的に当院へ紹介となった.腹部レントゲン検査で上部消化管の拡張像を認め,腹部CT検査で,胃から連続する拡張した管腔構造を認めた.上部消化管造影検査では著明な十二指腸の拡張とトライツ靭帯形成不全を認めた.限局性十二指腸拡張症,腸回転異常症の術前診断にて手術の方針とした.手術所見では十二指腸下行脚の著明な拡張を認めた.術中の上部消化管内視鏡にて,肛門側に狭窄などの通過障害となる異常所見は認めず,Vater乳頭の位置を確認し,自動縫合器を用いた十二指腸の拡張部位の部分切除による十二指腸縫縮形成術を行った.術後経過は良好で19日目に退院となり,7年経過した現在も症状の再燃はない.本症は非常に稀な疾患であるが,小児の腹部囊胞性病変をみた際に念頭に置く必要があると考えられた.

  • 三宅 優一郎, 高見澤 滋, 好沢 克, 畑田 智子, 服部 健吾
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1236-1239
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    症例は5歳女児.持続する不正性器出血を主訴に当科紹介受診となった.外陰部を含め,身体所見に異常を認めなかった.MRI検査にて膣内異物を同定し,全身麻酔下に膣内観察,摘出を行った.摘出異物は直径約18 mmのプラスチック製の玩具とビニール片であった.異物摘出後,小児用膀胱鏡を用いて膣内を観察すると膣内の炎症所見は高度で,子宮口は同定困難であった.性的虐待の可能性も考慮し児童相談所と相談したが,性的虐待の可能性は低いと判断されたため摘出後4日目に自宅退院となった.摘出1か月後に再度小児用膀胱鏡を用いて膣内観察を行った際,膣内ポリープを認めたため摘出した.ポリープは異物による慢性炎症が原因と考えられる肉芽組織であった.小児の難治性の帯下・不正性器出血は膣内異物を疑い速やかな膣内観察が必要であり,摘出後のフォローアップも重要と思われた.

  • 菊地 健太, 大串 健二郎, 長谷川 真理子, 五十嵐 昭宏, 畑中 政博, 藤野 順子, 岸 陽子, 池田 均
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1240-1244
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    難治性便秘を主訴とし,肛門狭窄をともなう前方肛門と診断した1例を経験した.症例は6歳,女児.肛門の外観は正常であるが,示指の挿入が困難で,anal position indexは0.33であった.直腸後壁は“posterior shelf”様で,電気刺激で肛門は外肛門括約筋により全周性に取り囲まれていることを確認した.以上より肛門狭窄をともなう前方肛門と診断し,全身麻酔下に会陰皮膚の横切開,縦縫合による会陰の延長と,肛門6時の内肛門括約筋切除による肛門形成術を施行した.術後,肛門狭窄は解除され,自力排便を連日,認めるようになった.しかし,会陰の延長効果は限定的であった.内肛門括約筋の病理組織学的検討では,筋萎縮と線維化が認められ,これらが肛門狭窄と難治性便秘に関与している可能性が示唆された.

  • 小川 雄大, 渡邉 稔彦, 大野 通暢, 田原 和典, 菱木 知郎, 藤野 明浩, 北村 正幸, 宮嵜 治, 野坂 俊介, 金森 豊
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1245-1249
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    症例は1歳9か月の女児.嘔吐のため前医を受診し腹部単純X線写真で複数の異物陰影が認められ当院紹介となった.当院で撮影した腹部単純X線写真では数珠状に連なった異物陰影の移動がなく口側小腸の拡張像も残存していた.これまでにも小球状の磁性玩具を口に入れて遊んでいたことがあったため,磁性玩具の誤飲による腸閉塞と診断し緊急手術を行った.小腸の3つのループが絡み合って内瘻化し,同部が閉塞機転となった腸閉塞であった.瘻孔を切除し可及的に磁性玩具を摘出した.また術中透視で腸閉塞部より口側の小腸内に異物陰影の残存があり追加摘除した.本症例は複数の腸管が多数の磁性玩具によりループを形成し内瘻化していたことや瘻孔が完成していたことから異時性に磁性玩具を誤飲していたと考えた.複数の磁石誤飲は重篤な合併症を起こすことを認識し,早期の外科的治療を考慮すべきである.

  • 仲谷 健吾, 西口 富三, 矢本 真也, 山田 豊, 関岡 明憲, 野村 明芳, 髙橋 俊明, 福本 弘二, 漆原 直人
    2018 年 54 巻 6 号 p. 1250-1255
    発行日: 2018/10/20
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル フリー

    症例は15歳0か月の重症心身障がいを有する女児.1年以上持続する不正性器出血を主訴として当院に紹介された.MRIで49 mm大の骨盤内腫瘍性病変が確認され,腟原発横紋筋肉腫が疑われた.CTでは膀胱浸潤が疑われた.経腟的には良好な検体が採取できず,開腹腫瘍生検が施行され,子宮頸部明細胞腺癌と診断された.初回手術後15日目に出血コントロールを目的とした単純子宮摘出術および両側卵巣摘出術が施行された.膀胱への浸潤を認め,術後診断はFIGO臨床進行期分類IVAとなった.術後,腟からの出血なく経過し,術後21日目に療養型病院へ転院した.術後5か月時には間欠的な経腟出血を伴う局所再発を認めているが,QOLは維持されている.小児の性器出血や骨盤内腫瘍性病変においては,稀ではあるが本症の可能性も念頭に置く必要がある.また,根治性とQOLを考慮した治療方針の決定が重要であると思われた.

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