日本小児外科学会雑誌
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症例報告
ERPにて主膵管損傷を診断し膵体尾部脾合併切除を行った小児IIIb型外傷性膵損傷の1例
片岡 将宏町田 水穂篠原 剛
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2020 年 56 巻 2 号 p. 200-204

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抄録

症例は9歳男児.上腹部を強打し,当院を受診した.外傷性膵損傷も疑われたため,抗生剤と蛋白分解酵素阻害薬による保存的治療を開始した.受傷2日目の造影CT検査にてII型もしくはIII型の膵損傷と診断したが,主膵管損傷の診断は困難であった.受傷3日目,内視鏡的逆行性膵管造影検査(ERP)により主膵管の断裂および造影剤の漏出を認めたことからIIIb型膵損傷と診断し,緊急開腹術を行った.膵体部に断裂を認めたため,膵断裂部にて膵体尾部脾合併切除を行った.術後経過は順調で,受傷11日目に退院した.小児においても,IIIb型膵損傷が疑われる場合には積極的にERPを行うべきである.また,IIIb型膵損傷と診断された場合,本症例のような早期症例においては手術療法も考慮に入れるべきであると考えられる.

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