日本小児外科学会雑誌
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56 巻 , 2 号
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おしらせ
追悼文
原著
  • 金森 大輔, 大橋 伸介, 梶 沙友里, 内田 豪気, 馬場 優治, 芦塚 修一, 大木 隆生
    2020 年 56 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

    【目的】コイン形リチウム電池の誤飲においては食道気管瘻等の重篤な消化管障害を認めることが知られている.日本小児外科学会ホームページ等でも注意喚起されているが実際の事故は後を絶たない.これまでに事故件数や重症度等の詳細な情報がないため,今回全国調査を行った.

    【方法】日本小児外科学会,日本小児救急医学会,日本小児内視鏡研究会に所属する202施設に対し,アンケート調査を行った.質問内容は,①2011年1月1日から2015年12月31日の5年間に各施設で経験したボタン・コイン形電池誤飲の症例数,②電池の種類(ボタン形電池,コイン形電池),③発見時の電池の位置(食道,胃,十二指腸以降),④摘出方法(自然排出,マグネット,内視鏡,その他),⑤予後(良好,不良;狭窄や穿孔などの合併症あり)とした.

    【結果】116施設(57.4%)から回答を得た.電池誤飲は939件あり,内訳はボタン形電池誤飲806件,コイン形電池誤飲133件であった.ボタン形電池誤飲における消化管障害は,電池を食道内に認めた12件のうち1件(8.3%)のみであった.また,電池を胃内に認めた530件では障害を認めなかった(予後不明6件を除く).十二指腸以降にボタン形電池を認めた264件においても障害は認めなかった(予後不明2件を除く).コイン形電池誤飲では45件が食道内で発見され,うち14例(31.1%)に障害を認めた.胃内に認めた71件には障害なく(予後不明2件を除く),十二指腸以降に通過していた17件においても障害を認めなかった.

    【結論】ボタン電池を誤飲した場合には,発見部位および電池種類の確認が重要となり,コイン形電池が食道内に停滞していると判断される場合には速やかな摘出が望ましいと考えられた.

  • ―生後早期の拡張胆管空腸吻合術の効果の検討―
    松久保 眞, 野口 啓幸, 武藤 充, 杉田 光士郎, 村上 雅一, 家入 里志
    2020 年 56 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

    【目的】先天性胆道拡張症(以下本症)の出生前診断症例は,閉塞性黄疸や消化管通過障害などの有症状症例には早期対応が求められる.しかし,早期対応の方法に関しては,一律の方針はない.今回,出生前診断され,閉塞性黄疸や消化管通過障害などの症状を認めた本症に対して,生後早期に拡張胆管空腸吻合術(以下本術式)を施行し良好な結果を得たので報告する.

    【方法】2014年1月から2019年1月までに出生前診断された本症5症例を対象とした.出生後,全症例に本術式後に,二期的根治術(拡張胆管切除,肝管空腸吻合術)を行った.患者背景・手術成績等に関して後方視的に検討し,本術式の妥当性を評価した.

    【結果】平均在胎週数25週時に胎児超音波検査で指摘された.出生時の平均在胎週数は,38週6日,平均出生体重3,380 gであった.戸谷分類は,Iaが3症例でIV-Aが2症例であった.全症例で,出生後早期に本術式を施行した.術後合併症は認めず,症状の改善を得られた.二期的根治手術は4症例に対して平均月例11.5月,平均体重8.8 kgで施行した.1症例は,根治手術待機中である.

    【結論】全症例で生後早期に閉塞性黄疸や消化管通過障害などの症状を認めたため,本術式を行った.術後に症状は改善を認め,4症例に対し二期的根治手術を施行し,良好な結果を得られている.本術式後に二期的根治術を行う方法は,手技が簡単であり,出生早期の児に対しても安全に行うことができ,出生前診断された閉塞性黄疸や消化管通過障害などの症状を認める本症に対する治療方針の1つとして考慮してもよいと思われる.

症例報告
  • 小松崎 尚子, 金田 聡
    2020 年 56 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

    8歳男児.前医で急性虫垂炎に対して保存的治療が行われていたが,腹痛が遷延するため当科紹介入院となった.急性虫垂炎の再燃と診断し,保存的加療後に退院したが,翌日に腹痛が再燃し再入院した.再入院時,血液検査で炎症所見は認めず,造影CTで虫垂遠位端に17 mm大の腫大を認めた.虫垂炎の再燃初期または虫垂周囲の癒着による痛みと診断し,手術適応と考え,腹腔鏡補助下虫垂切除術の方針とした.腹腔内を観察すると,虫垂が反時計回りに180°捻転し大網との癒着で固定されており,虫垂捻転と診断した.虫垂の壊死性変化は認めず,大網との癒着を剥離し虫垂を切除した.切除標本は虫垂間膜が短縮し,遠位端に漿液が貯留していた.病理組織所見では内腔の一部が狭小化し固有筋層の肥厚が見られたが腫瘤性病変は認めなかった.近年,虫垂炎に対して保存的治療のみで軽快する症例や保存的加療後に待機的に虫垂切除術を行うことがあるが,手術待機中に腹痛が遷延する場合は早期手術が必要な本疾患も念頭におく必要がある.

  • 片岡 将宏, 町田 水穂, 篠原 剛
    2020 年 56 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

    症例は9歳男児.上腹部を強打し,当院を受診した.外傷性膵損傷も疑われたため,抗生剤と蛋白分解酵素阻害薬による保存的治療を開始した.受傷2日目の造影CT検査にてII型もしくはIII型の膵損傷と診断したが,主膵管損傷の診断は困難であった.受傷3日目,内視鏡的逆行性膵管造影検査(ERP)により主膵管の断裂および造影剤の漏出を認めたことからIIIb型膵損傷と診断し,緊急開腹術を行った.膵体部に断裂を認めたため,膵断裂部にて膵体尾部脾合併切除を行った.術後経過は順調で,受傷11日目に退院した.小児においても,IIIb型膵損傷が疑われる場合には積極的にERPを行うべきである.また,IIIb型膵損傷と診断された場合,本症例のような早期症例においては手術療法も考慮に入れるべきであると考えられる.

  • 杉原 哲郎, 大橋 伸介, 芦塚 修一
    2020 年 56 巻 2 号 p. 205-209
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

    症例は日齢45の女児で,在胎37週0日,出生体重2,180 g.胎児エコーで消化管拡張を指摘されていたが,出生後の成長発育に問題はなかった.腹部膨満および嘔吐を主訴に当院小児科を救急受診した.腹部レントゲンで多数の鏡面像を認め,イレウスと診断した.経鼻胃管挿入で腹部膨満が改善せず,腹部CTにて回腸末端部に何らかの器質的閉塞が疑われ,緊急手術を施行した.開腹所見では,小腸全体が著明に拡張していたが,壊死部位はみられなかった.回腸末端から40 cm口側の小腸がbandにより圧迫され,回腸閉鎖をおこしていた.回盲部および拡張腸管を切除し,吻合した.術後経過は順調で術後第11病日に軽快退院した.現在術後7年経過したが,成長発達に問題はない.稀な後天性回腸閉鎖の1例を経験した.本症例は,出生前から存在したbandによる血流障害が緩徐に進行し,出生後に腸閉鎖に至ったと考えられた.

  • 瀧本 篤朗, 井口 雅史, 坂井 宏平, 東 真弓, 文野 誠久, 青井 重善, 古川 泰三, 田尻 達郎
    2020 年 56 巻 2 号 p. 210-213
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

    症例は2歳男児.腹痛で発症し,前医での画像検査で虫垂腫大を認めたため,虫垂炎と診断され,当科紹介となった.腹腔鏡下に観察したところ,腫大した虫垂の先端が臍動脈索に付着し腫大していた.術中は虫垂炎の炎症が腹壁に波及したものと判断し,癒着を剥離後,虫垂を切除し手術終了とした.術後病理結果にて虫垂の炎症は外部から波及であることが判明.術中所見と併せて臍動脈索からの炎症波及が考えられた.臍動脈索が感染をきたすことは非常に稀であり,さらに臍動脈索感染が周囲に炎症波及し,二次性虫垂炎を引き起こしたと考察された論文はこれまで我々が検索し得た範囲では認められず,今回報告する.

  • 小俣 佳菜子, 川嶋 寛, 石丸 哲也, 青山 統寛, 康 勝好, 柳 将人, 平良 勝章, 飯田 拓也, 中澤 温子
    2020 年 56 巻 2 号 p. 214-218
    発行日: 2020/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

    症例は9歳女児,左側胸部の腫瘤を主訴に受診した.精査し左胸壁原発Ewing肉腫・限局例と診断した.腫瘍は大動脈背側まで進展していたが,術前化学療法が著効し著明な縮小を認めたため,根治切除が可能と判断して手術を行った.術式は,腫瘍の進展範囲から胸壁切除術(第3~5肋骨合併切除術),左肺全摘術とした.また,胸壁の欠損部位が大きくなったため,胸壁再建を行った.術後病理診断ではすべての切除断端に腫瘍細胞を認めず,根治切除をなし得た.術後18か月現在まで再発なく経過しており,また胸壁再建に伴う合併症も認めず,発症前と同様の日常生活を送っている.Ewing肉腫・限局例の局所療法は近年手術治療が有用と考えられ,広範切除が可能であれば手術を第一選択として治療を進めるべきである.

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