2020 年 56 巻 6 号 p. 1037-1045
腸管不全は小児に多い短腸症候群や機能障害等による吸収障害で,水分・栄養状態,成長維持に長期の静脈栄養を要するが,カテーテル感染症,血栓閉塞,腸管不全関連肝障害等により予後は不良である.欧米を中心に1980年頃から腸管不全患児に対して腸管リハビリテーションプログラム(IRP)が発足した.小児外科医,小児消化器内科医,看護師,栄養士,薬剤師等による多職種チームにより,カテーテル管理,栄養管理,薬剤療法,外科的手術,小腸移植の適応等を討論し治療に進む.欧米5施設においてIRP導入後には導入前に比し,生存率,カテーテル感染,静脈栄養への依存度,肝障害が改善している.IRPを有する欧米の施設において,腸管不全患児の生存率73~95%,静脈栄養離脱29~60.8%,小腸移植施行率5.4~25%である.多職種チームによる腸管リハビリテーションプログラムは,腸管不全患児における腸管順応を獲得するのに重要な役割を果たす.