2023 年 59 巻 5 号 p. 905-911
8歳,男児.溶血性尿毒症症候群に対し輸液・輸血療法を施行した.発症13日後に食事を開始したが,発症19日後に腹痛,嘔吐を認めた.血液検査でビリルビン,肝逸脱酵素の上昇と,超音波検査で胆泥の貯留を認めた.胆泥による疝痛発作と診断し,禁食,利胆剤を開始した.その後,3週間で3度発作を繰り返し,保存的加療の継続は困難と判断し手術を予定した.待機中に発熱,右季肋部痛,嘔吐を認め,血液検査で白血球増多,CT検査で胆囊壁肥厚を認めた.急性胆囊炎と診断し,同日胆囊摘出術を施行した.胆囊内部には多量の粘調な胆泥がみられたが,結石は認めなかった.術後経過は良好で,手術5日後(発症47日後)に退院した.溶血性尿毒症症候群後の胆泥貯留は一過性の病態で保存的加療にて軽快することもあり,胆囊摘出術が施行されることは稀である.しかし,長期の保存的加療は病悩期間延長や手術時の癒着などを来すことから,早期の外科的治療が望まれる.