2023 年 59 巻 5 号 p. 899-904
幼児期に発症した先天性十二指腸膜様狭窄症に対し内視鏡的治療を行ったため報告する.症例は3歳,女児.頻回の嘔吐を主訴に来院した.血液検査と造影CT検査より急性膵炎や十二指腸腫瘤が疑われ,精査目的に緊急入院した.上部消化管造影検査で十二指腸球部の拡張と肛門側への造影剤の流出不良を認め,腸閉塞を疑い緊急手術をした.開腹所見ではTreitz靭帯の形成がなくLadd靭帯が壁外性に十二指腸を圧迫していた.腸回転異常症と診断し,Ladd手術を行った.術後の上部消化管造影検査で十二指腸球部に造影剤が停滞し,十二指腸の壁が二重に造影される部位を認めた.先天性十二指腸膜様狭窄症を疑い,上部消化管内視鏡検査を施行した.Vater乳頭の肛門側にwind sock型の膜様狭窄を認め,フラッシュナイフ(富士フィルム)で膜を弧状に削り取るように切除した.内視鏡治療後7日目に退院し,2年半嘔吐なく経過している.