2023 年 59 巻 6 号 p. 965-972
【目的】重症心身障がい児(以下,重症児)における診療の中で,時に胃瘻周囲からの胃内容の漏れを経験する.漏れが軽度であれば保存的管理が可能であるが,胃瘻周囲の難治性皮膚炎となることもある.今回我々は胃瘻周囲からの漏れに対し胃瘻再造設術を要した例とその関連因子について検討した.
【方法】当院で2003年1月から2021年12月に胃瘻造設術を施行された小児のうち,胃瘻を継続使用し当院及び関連施設で経過を観察されている218例を対象とし診療録を後方視的に検討した.
【結果】全例が何らかの基礎疾患を有していた.その中で漏れによる瘻孔周囲炎のため胃瘻再造設術を施行された症例は6例(2.8%)であった.初回胃瘻造設から再造設術までの期間は中央値76か月(43~158か月)であった.再造設術を要した例は全例保存的治療での改善が認められず,手術的治療が選択された.再造設術を必要とした例に,基礎疾患,重症児該当の有無,噴門形成術の同時施行の有無の関与は認められなかった.術式の比較では腹腔鏡補助下内視鏡的胃瘻造設術(laparoscope assisted percutaneous endoscopic gastrostomy:以下LAPEG)と比較して,Stamm法による胃瘻造設例が胃瘻周囲の漏れから再造設術に至るリスクが有意に高かった.
【結論】LAPEGはStamm法と比較して長期的に重篤な胃瘻周囲からの漏れを回避できる可能性が示唆された.また,小児胃瘻造設患者の中には,長期経過中に胃瘻周囲からの漏れにより胃瘻再造設を必要とすることがあることを認識し,適切な保存的治療を含む長期管理を心がけることが重要である.