2023 年 59 巻 6 号 p. 991-996
小児バセドウ病の治療は抗甲状腺薬による薬物治療が主体であり,手術適応となる症例は少ない.バセドウ病に対する手術治療は薬物治療困難例でも早期に確実な治療効果が得られる一方で,症例ごとに術前の甲状腺機能のコントロール,術式選択などの検討が必要である.また手術に関連した合併症や長期的なホルモン補充の必要性,再発の可能性などのデメリットも念頭におく必要がある.今回我々は,薬物治療中に甲状腺腫の圧排により気道狭窄症状を呈した10歳7か月男児,抗甲状腺薬の高度副作用で薬物治療が継続困難となった12歳8か月女児,巨大甲状腺腫となった16歳7か月女児の3症例に対し手術を施行し,合併症や再発は認めなかったので報告する.