2024 年 60 巻 7 号 p. 969-977
目的:少子化のなか適正な小児外科専門医数は重要な問題である.増員は働き方の面などで利点があるが各専門医が経験できる症例数が不十分となることなどが危惧される.適切な議論には専門医の現況に関するデータが必要と考え,学会の専門医リストなどを元に検討した.
方法:日本小児外科学会ホームページ『小児外科専門医のいる病院(認定施設・教育関連施設A・B・特定教育関連施設)』2024年1月1日版の専門医の卒後年数を厚労省医師等確認検索サイトから算出した.出生数および小児外科施設数と合わせ下記指標を地方毎に求めた.
A.専門医充足度:1万出生あたりの専門医数
B.施設集約および専門医集積:1施設あたりの出生数および専門医
C.専門医の世代間バランス:卒後31年以上の専門医1人に対する卒後20年以下の専門医数
D.若手教育のリソース:卒後20年以下の専門医1人が経験し得る年間出生数
また,全調査施設における卒後年数別の専門医数および女性医師の割合を調べた.リストの使用は小児外科学会に確認した.さらに,諸外国における小児外科施設および小児外科医数の現況について検索を行った.
結果:地方間で検討を行った4種類の項目では,約1.5~4倍の差を認めた.調査施設に在籍する専門医は卒後24年までが多く以後は急激に減少した.他国との比較で,本邦は1万出生あたりの小児外科医は多く,1施設あたりの小児外科医は少ない傾向であった.
結論:各指標で地方間差を認めた.調査施設には若手専門医が多く,将来のポジションに懸念を認めた.本研究で専門医の現状の一端が明らかになり,今後の議論の一助となることを期待する.