2026 年 62 巻 4 号 p. 860-865
【目的】小児直腸脱の頻度は少ないが,腸管脱出の高度例や難治例では外科的治療が必要となる.本邦では侵襲性や整容性を考慮し腹腔鏡手術の報告が多いが,欧米では経会陰式であるDelorme法の報告が見られる.今回,我々が経験した小児直腸脱の特徴とDelorme変法の有効性を評価することを目的とした.
【方法】2013年1月から2023年4月までに直腸脱に対しDelorme変法を施行した6例について,術前の臨床的特徴,手術関連情報,術後経過について検討した.
【結果】対象は6例,患者背景として発達遅滞1例,高位鎖肛(直腸尿道瘻)術後1例を認めた.直腸脱に対する初回手術として,1例にGant-三輪法を実施していた.発症時年齢の中央値は2歳6か月,診断から手術までの期間の中央値は71日(20日~1,973日),手術時年齢の中央値は4歳0か月(2~8歳)であった.脱出腸管長は中央値3.0 cm(2~5 cm)であった.切除した直腸粘膜長は中央値6.8 cm(6.0~15.0 cm),手術時間の中央値は121分(60~171分),出血量の中央値は20 ml(0~32 ml)であった.入院期間は中央値8.0日,周術期合併症は認めなかった.術後再発は1例のみで,術後1年6か月後に,頻回下痢時に一過性の直腸粘膜の再脱出を認めたが,便性コントロールにて改善した.
【結論】自験例の検討により,ほとんどの症例で再発や合併症なく経過していた.Delorme法は小児直腸脱における経会陰手術の初回治療法として,考慮に値すると考えられた.