2026 年 62 巻 4 号 p. 866-871
症例は15歳女児.数か月前から食後の嘔吐や腹痛があり,体重減少も生じたために近医を受診した.CTで空腸・回腸に分布する腸管気腫と胃・十二指腸の著明な拡張を指摘され,当科紹介となった.Vital signsは安定しており,腹部圧痛を認めないことから絶飲食補液による経過観察と段階的な精査を行うこととした.入院後数日で腸管気腫は腹部X線上の改善傾向を示した.上部消化管内視鏡検査でVater乳頭の口側に膜様狭窄を認め,先天性十二指腸狭窄症および十二指腸狭窄による胃・十二指腸の内圧上昇を主因とした腸管気腫症と診断した.内視鏡的バルーン拡張術を行うも効果は不十分で,腹腔鏡下十二指腸十二指腸吻合術を追加で施行し,良好な転帰を得た.先天性十二指腸膜様狭窄に合併する腸管気腫症の報告は稀有であり,病態把握と治療法の決定に苦慮した症例のため報告する.